チッコーネ

コバルトブルーのチッコーネのレビュー・感想・評価

コバルトブルー(2021年製作の映画)
2.5
『テオレマ』みたいな感じかしらと思って観ていたが、あそこまでぶっ飛んではおらず「インド社会でゲイおよび女性が抱えるストラグル」を、2本柱として据えた作品。

格差が激しいインド社会の富裕層家庭を舞台にしているため、エキゾチズムは希薄。
下宿人として家庭に闖入してくる「自称アーティスト」風男の、西洋かぶれなライフスタイルも胡散臭いが…、若輩を掌で転がし、混乱へ巻き込む者としての資格は充分か。
彼の存在をメタフォリカルに取り扱えば良いのに、とも思ったが(←余計なお世話)、終盤で「その後の姿」まで挿入してくる編集にはさすがに幻滅、幼稚過ぎる。

『自身に思いを寄せる教師を利用し、突き放す主人公』と『列車内でタイプライターを盗む女』の姿には、インド社会のリアリティとハードボイルドが(そして主人公の描くヒンディー語付きイラストはラブリー)。
また主人公の母親の長い黒髪は保守の象徴でありながらも、美しい。
作品内でインド初のレズビアン映画である『炎の二人』のポスターがチラッと映り込んでいる…、観たいなぁ。