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RRRのandesのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
3.4
あまり乗れなかった。もちろん、独特の勢いとアクションのアイデアには舌を巻くが、どうも無邪気(?)な思想性がノイズになってしまった。
英国を名指しで悪役にした、「歴史」の中の物語なだけに、どうしても整合性を求めてしまう。「スッキリした」「ハッピーエンド」というにはどうにも重いのである。英国がインドを抑圧していた「史実」を盾に、クライマックスで白人をゲームのように「虐殺」する展開には疑問符がつく(マーベルからの影響もあるだろう)。ラーマが「武器は要らなかった」と言いつつ、最後には結局、村民にエンフィールド小銃を配っている。
主人公2人が超人なので、クライマックスは苦戦もしない。砲撃を受けても「怪我もしないんだろうな」と案の定の展開。正直、ダンス対決が面白さのピークだった。安易な「理解のある」英国貴婦人もエクスキューズとして安直である。
さて、一番気になるのは、ラストの「ハッピーエンド」。あの後、泥沼の戦争になるだろう。本国の英国は健在で、ラーマとビームが植民地総督を殺害して、武器を国民に配ったのである。1920年代となると、戦車も飛行機もある。ベトナムは膨大な犠牲を経て、「独立」を勝ち取った。それは国民の選択で結構だが、ラーマとビームは「自分がしたことの重み」がわかっているのだろうか。つまり、映画のラストは、「終わり」ではなく、苦難の「始まり」なのである。それにしては、あまりに軽い。
エンドロールで「独立運動」の英雄が現れるのも釈然としない。彼らは「神話」によってではなく、「政治」によって運命を切り開いたはずである。枢軸国に協力したチャンドラ・ボースもいたので複雑になってしまった。「もっと楽しみたかった」というのが本音の作品だった。
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