悪魔の毒々クチビル

RRRの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.8
バイクは鈍器です

互いに敵対する立場の男同士が築き上げる友情と炎と水のお話。


Rise!Rebel!Resist!…はOtepの方でしたねさーせん。
フォロワーさん方の評価が軒並み高かったし、「面白いんだろうなぁ」というのは自分でも思いつつも3時間という長さを言い訳に中々観に行かなかった今作を、漸く観て来ました。

うわー!やっぱおもしれー!!スゲー!!!

期待以上のむさ苦しさとアツさは勿論、映画3本分くらいのクライマックスをぶっ込んだ異常なテンションでお送りする傑作でした。
ね?観に行っておいて良かったでしょ?

予告も以前一度観たきりで、内容も最低限の事しか知らない状態で観たので予告編でお馴染みであろうシーンも初見でして、上がりましたね。
序盤の導入部分では「ほうほう、面白くなりそうな要素は色々あるがどうなるかな」と思っていましたが、ビームとラーマが橋で子どもを救って互いの手を取り合うシーンで「はい傑作!」と見事に心を奪われちゃいましたん。

ビームとラーマ、どちらも凄く魅力的だったんだけどラーマは序盤の乱闘シーンを観て、意地でも任務を遂行させる熱血系ターミネーターみたいなキャラなんかなとか思っていたんですけど、ビームと仲良くなってからどんどん素敵な笑顔を見せてくれるのでギャップに勝手にキュンキュンしていました。

そこからナートゥナートゥナトゥなダンスシーンはインド映画特有の愉快さだけでなく、何かが滾るような熱もあって滅茶苦茶良かったです。
あの脚の動きも凄いわね。そりゃあんだけ筋肉あるよね。スーパーナトゥナトゥタイムでのダンスバトルも良い。
真似してー!無理だけど。
歌のシーンはいくつかあれど、ダンスシーンはエンディングを除いたらここだけだったのもあり尚印象的でした。これでもまだ前半だったんだなぁ。

そこから遂に互いの正体を知ってしまい、戦う事になってしまった二人。中々ビームの目を見れないラーマさん…
なんだけど、ここの構成も良い意味で頭がおかしい。
まず急なアニマルパニックになるのはまだ良いです。まぁここも複数の動物と共に突撃するビームさん、とか言うとんでもない絵面がありましたが。
しかしその後、ラーマvsビームが始まるんですかね、確かに序盤でこの二人を紹介する時にラーマは「炎」、ビームは「水」と銘打たれていましたよ。でもそれはあくまで各々を象徴するイメージ映像的なもんだと思っていたんですよね。
ところがどっこい、二人とも本当に炎と水を纏ってバトルし出したのは本当に衝撃でしたね。
まさかそんな直接的な描写をしてくるとは思わず、完全に脱帽でした。
そしてこのシークエンスの後に現れるインド映画お馴染みInteRRRvalの文字に「あ、まだ中盤なの!?」と更にびっくり。
冷静に考えればまだ全然描くべき所は残っていたんだけど、完全にクライマックスのテンションだったからね。

ここでラーマの過去が描かれて彼の背負うものが如何に重いかをやっと知れまして、そこでまた二人の一悶着あるんだけどここでもまたクライマックス感出していて「まだ終わらんのかーい!」と突っ込みかけました。
でも別に「早よ終われや」的な意味合いじゃなくて、「まだテンション上げるん!?」という衝撃が強かったからですよ。

そんで遂に本当のクライマックス、ラーマ救出編になるんだけど、ここも半端なかった。
ビームが全てを知った時の表情にこっちも男泣きよ。
ラーマが脚を怪我しているので、どう打破すんのかと思っていたらまさかの肩車っていや~行ける?…行けちゃうんかーい!!
何ですかあの格好良すぎる銃撃とリロードは。
何ですかあの跳躍は。
息が合うどころか、まんま一体の生物と化していましたね。心が一つなだけでなく、二人とも強靭な肉体だからこそのあるべくして生まれた名シーンでした。
因みに脚は応急措置くらいの手当てで普通に走れるくらいに回復していました。

その後のね、英国軍がどんどん追ってくる中で再び炎と水を纏い出して戦うシーンもすんごい。ハイライト多すぎるだろこの映画。
百発百中神出鬼没で炎の矢を放つラーマ。
烏獲之力廻天之力で敵を薙ぎ倒すビーム。
そうかこれが友情の力か。

綺麗に終わって実は無事だったあの人の存在に安堵しつつ、エンドロールもしっかりダンスで魅せて終わる安定のインド映画っぷり。まぁあのエンディングで出てくる人物は調べなきゃ分からないけど。

厳密に言えば若干二人の仲違いに力を入れすぎな気がしたり、「武器がなくとも、彼の歌が人を武器に変えた」みたいな台詞があったのにしっかり武装エンドしていた事とか少し気になる所もあるにはありましたが、キャラも良くて総じてインド映画特有の唯一無二の熱量がいつも以上に伝わってくる傑作でした。
3時間という長さの中で何度も盛り上がりの波が襲ってくるので、朝イチの回で観たのに観終わった直後は1日が終わる頃なんじゃないかと、もう23時50分くらいなんじゃないかと錯覚しちゃいました。