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RRRのhasseのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.8
演出5
演技4
脚本4
撮影5
音楽5
技術5
好み5
インスピレーション5

○「1920年、インド。蜂起(Rise)、咆哮(Roar)、反乱(Revolt)」

歴史、ファンタジー、アクション、恋愛、友情、勧善懲悪、そしてダンスが融合した最高の映像叙事詩!!!!
映画を初めて見たかのように、興奮と感動が止まらない!

大英帝国の支配下にあった1920年インドを舞台に、二人の英雄による圧政への反逆が描かれる。監督いわく「史実は一つもない」というからジャンル的には歴史ファンタジーになろうか。

ラージャマウリ監督は神話のコミックに影響を受けているそうだが、演出が確かに漫画っぽい。宮殿で動物たちを解き放つショット(半年もどこに隠していたんだろう)や、ビームが散水ホースを構える(背後にも複数のホースが蛇のようにうねっている)ショットとか、絵面が少年漫画っぽくてマジでワクワクする。
ビーム=水、ラーマ=炎のイメージをまとってるのが、敵対するときは対比となり、共闘するときは溶け合い、うまくできてるなぁと感心した。
ビームの公開処罰シーンとか、ONE PIECEの「ワノ国」編の「とのやす」処刑シーンじゃんか。スローモーション多用するのも、あまり好きでないはずなのに、もっとやってくれと思ってしまう。

そうだ、スローモーションだけでなく、私の本来あまり好きでないものが悉く楽しめた奇跡の映画だった。とりわけ、劇中のダンスシーン。ストーリーの腰を折る歌とかダンス、ミュージカルが嫌いだが、本作のダンスは最高! 英国人に侮蔑されたビームがラーマの助けを借り、ナートゥダンスで英国人を見返しつつ、ご婦人がたを虜にしてますますダンスは加速、白熱、伝染、拡大していく。最後はビームVSラーマの一騎討ち、どちらが先にぶっ倒れるか?!…冷静になると何やってんだ、という感じだがとにかく熱くなれる、というか謎に感動してずっとうるうるしてた。あと15分続けてほしかった。

アクションシーンも素晴らしい。
・ラーマの初登場シーン、ラーマが警棒だけで群衆をぶちのめしていく、三國無双の呂布的な一騎当千アクションはやばい。頭のネジ5本くらい外れてる。(ビームと出会ってからはずっと優しく面倒見のいい兄貴兄貴してたので、別人じゃないかと疑うレベル)
・先に書いた、宮殿カチコミして動物解き放つシーン。
・ラーマ救出後、森で特殊部隊を弓矢や槍で一人一人確実に殺していくのは『ジョン・ウィック』的でテンションぶち上げ。
・ラーマとビームの出会うきっかけとなった川の子供救うシーンの中国雑技団的なアクションはさすがに笑ってしまったがよくできてる。
・ラーマとビームがとにかく超人的に強い。俺TUEEEではなく、かなりダメージを負うのだが驚異の耐久力と根性でフルパワーを発揮しつづける。『ジョン・ウィック』『ノーバディ』といった最近のアクション映画のトレンドに沿いながら、なんと彼らはアタッカーでありヒーラーでもあるのだ。ビームはそのへんに生えてる葉っぱをもぎとってすりおろし、傷口に塗り込む。すると、数時間後には何事もなかったかのように動けるようになっているのである。これは無敵。
・パワフルでクールなアクションは、物理法則や理屈を完全に屈服させてひたすらスクリーン上でハジけている。理屈なんてどうでもいい、最高にカッコいいんだから!と思わせたら勝ち。それがいい映画に起こるマジックだ。

書き出すと本当にキリがない。ラーマやビームの故郷の美しい森や川の風景がたまに挟まれる緩急。大都市デリーのとんでもなく密集した人口スケール。インドだからこのスケールに説得力があるし(日本じゃできない)、このスケールでしか描けないスペクタクルがある。
強いて△を挙げるなら、ラーマの過去編がやや長かったのと、女性キャラが舞台装置でしかないくらいか。まぁ大勢(たいせい)に影響はないレベルだが。

新時代のブロックバスター映画を見たという気がする。ハリウッドも面白いものはまだまだあると思うが、なんだろう、底抜けに「楽しませてやるぞ!」という暑苦しい熱量を感じた。最高です。

『バーフバリ』シリーズサブスクで見たいが、できれば劇場で見たい!どこかRRRヒット記念で上映してくれないか。とりあえず、他のインド映画を漁っていく。
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