eikotomizawa

RRRのeikotomizawaのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.3
正直なところ楽しんだぶんだけ銃口を向けられる鑑賞経験になってしまった。この作品を手放しに感動し楽しむのは、エンタメ大勝利であると同時に、マッリの歌を消費した彼女たちのように、あまりにも傲慢に本作を楽しんでしまっているのではという気がして。

「RRR」と完全におんなじレベルの高解像度エンタメの今度は対"大日本帝国"作品が出てきたときに、違わぬ尺度でわたしは映画と向き合えるだろうか。実際のところ対日帝映画なんて腐るほどある。程度はあるかもしれんが植民地支配もしていた側だし、そもそも日英同盟ね。(まあ日本は元宗主国であると同時に、側面的に見ると元属国でもある複雑な感覚を持ち合わせているのも事実。)

RRRと規模感や構図的にいちばん類似しているのは「セデック・バレ」だと思うのでセットで見てもいいかも。そちらはRRRと違ってシリアスだけど、二項対立がもっと緩和されていて両陣営の人物描写の豊かさに秀でているので。

そういえば10歳のころ「鬼が来た!」を観たときに、なんかもう気持ちがめちゃくちゃになってしまい(もちろん日本では反日映画扱いされていて当時も荒れたが、戦時下の日本軍と中国人の奇妙な友情と厳しい悲劇を描いていて、中国ではそもそも上映禁止で発禁処分になっている。ちなみにローグ・ワンに出演した姜文が監督兼主役、日本軍として香川照之がメインで出ている。)

そのトラウマさえ湧いてきて、鑑賞中は映画の興奮なのか、葛藤の動悸なのかわからないくらい心臓がバクバクしてしまった。帰宅後には蕁麻疹まで出てきた。面白かった、そのぶん試された。まだすこし胸がざわつく。
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