Hiroki

RRRのHirokiのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.2
オスカーのあれを見せられたらもー観に行くしかないじゃないですか!
歌曲賞おめでとう!
ということで2回目の映画館へ。

オスカーでは名司会ジミー・キンメルの唯一の失敗だったボリウッド発言(一般的にボリウッドはヒンディー語・ウルドゥー語・ヒンドゥスターニー語による映画を指し、テルグ語映画=トリウッドである今作は当たらない。ちなみにインドで1番多いのはテルグ語映画らしい。)は言語で産業が区分されているインド映画に対しては致命的。
ナートゥパフォーマンスがビーム&ラーマではない替え玉事件(本人が授賞式にいたのに)から、バックダンサーがインド人(ドラヴィダ語族)とは異なる人種の人々が使われていたりとRRRも何かと今回のオスカーの中心にいました。良い意味でも悪い意味でも。

そんな今作ですがインド国内が約1億3,000万ドル(約170億円)、全世界興収が約1億6,000万ドル(約210億円)を超える勢い。
製作費はインド映画史上最高額の約97億円らしいですが、プロモーション費用を考えても充分回収できているはず。
しかも早い段階で英語・スペイン語・ポルトガル語・韓国語などの配信権をNetflixが獲得した事を考えても驚異的。
ちなみに北米が約1,500万ドル(約20億円)を叩き出して、スピルバーグ『ザ・フェイブルマンズ』やデヴィッド・O・ラッセル『アムステルダム』とほぼ同じ興収。これ北米だけでの話です。
日本でも3月中旬現在で、約12億円と過去のインド映画を大きく上回る大ヒット。
私が行った回もオスカー直後という事もあってか、平日でも8割が埋まっていました。
しかも会場内は爆笑につぐ爆笑で本当にみんな楽しそうでした。
まだまだこの旋風は止まない感じでしょうか!

ただ今作インド国内では賛否もあって、どーやらラーマ・ラージュとコムラム・ビームという人物は革命家として国内では有名らしく「本当はそういう人物ではない」みたいな論争が起きていたようです。
一部公開中止を求める訴訟にまで発展したとか。
実際には裁判所に却下され、クリエイターのS・S・ラージャマウリも「完全なるフィクションで実在の人物は存在しない」と発言しているみたいですが。

さて内容ですが、とにかく説明不要!
というか文字でうまく説明できる気がしない!
だから昨年最初に観た時にレビュー書けなかったのですが。
まーとにかく常にハイライト。
180分全く飽きないし、気づいたら終わってます。
全部が無茶苦茶でツッコミ所とか10分に1回くらい出てくるんだけど、もーツッコむ事すらバカらしくなってくるという。
というか細かい事とか気にしてたら何も楽しめない。それより何も考えず楽しんだもの勝ちじゃない?みたいな。
S・S・ラージャマウリも「自分の作品は大仰でやり過ぎだと思う」と話しているようにこれはある意味でコメディ。
100億円使ってコメディを作るというのも凄い話だけど。
そもそもタイトルの『RRR』も監督S・S・ラージャマウリ、主演NTR Jr.とラーム・チャランのイニシャルをとった仮タイトルが結局そのまま本タイトルになった。
もー基本的に遊んでいるんですよね。本気で。

好きなシーンはやはり動物乱入シーンと肩車シーンですよね!
最近の映画ではなぜか“ロバ”と“肩車”が流行っているらしく、今作の肩車も本当にかっこよかった。(もちろんエブエブの肩車シーンも最高です!)
あとはやっぱりナートゥ。
もはや超有名になった「ナートゥをご存じか」の名字幕から始まるあの最高シーン。
なんと1日12時間で練習6日、撮影14日のトータル20日間もかかったという。
まーそのくらいしないとあれは撮れないか...

でもこれって日本では絶対に作れない映画ですよねー。日本が得意とするような世界観とは正反対というか。そんなに金がないというか。
S・S・ラージャマウリが面白い話をしていて「映画を作る時には常にインド全体(テルグ語圏以外を含む)の事、そしてアジア全域の事を考えている。日本でヒットするという事は自分の感性が間違っていなかったんだと感じる。でも西洋の感性というのは少し違うと思っていた。
だからアメリカでヒットした事の理由はわからないけど、時間が経てばその理由がわかるのかもしれない。」
つまりこの世界観は日本を含む東アジアにも通用すると感じていたんですよね。まー実際ヒットしているわけだし。
それが凄いなーと感心しつつ、とても興味深かった。

今作は元々続編構想はなかったらしいのですが、世界的な大ヒットを受けて原案のK・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード(ラージャマウリの実父)がストーリー構想に入ったとの事。
続編公開されたら絶対に観に行く!

皆さまもナートゥをご存じの人生を!

2023-19
Hiroki

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