Schiele1918

RRRのSchiele1918のレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
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難解な映画だった。
インドという大地に渦巻く運命の転輪。調和する火と水。
銃と弾丸による抵抗が高らかに謳われる。

大英帝国への暴力と世界情勢と歩みを合わせた政治で出来なかった(無意味ではなかった)独立を、インドは鉄と火ではなく民衆の歩みで成し遂げ、獅子を挫いた。
そして国父となったガンジーの悲願は「憎しみの銃弾」で打ち砕かれ、果てしなく巨大なインドは、ムスリムとヒンドゥーの兄弟(たち)に永遠に別れ究極の火を突きつけあう道に進んだ。

歓喜の舞踊。正しき喜び。ヒンドゥーの道。
見つめながら鼓動と精華の歌に揺さぶられながらずっと心に鉛があったかもしれない。

少なくとも、この映画は1920年を現代のインドの姿を元型に「語り直した」姿に描いている。
壮大な情景。心躍るアクション。火と水は調和して豊かな実りを見せてくれる。
足元には虐待者の英国人の死体。華やかな女性たち。ヒンドゥーの祈り。
インドレスリング界は今も女性たちが名誉の抗議を続けている。フェイク映像で辱められながら。警察は同胞を棒で蹴散らす。全ては現代インドにあるもの。

踊りの中で歓喜の中で生きるのも、運命の鞭に打たれ転輪に轢き潰されるのもインドの生の有り様なのか。
日本で万雷の拍手の中にいる自分には到底届かないものを見せられた。
なんて広大な世界なんだろう。手に負えない。
Schiele1918

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