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RRRのCANACOのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.0
なんとなく見逃していたのと、4回見たという人が身近に現れたので今さら鑑賞。上映時間3時間2分ながら、インド映画らしいわかりやすさと、ド派手を超えたアクションで確かに中毒性ありました。

パッケージ通りの、濃い顔あふれる、ダイナミックなインド映画×超肉弾戦アクション作品。インド民が反英感情を募らせていた、1920年のイギリス植民地時代のインドを舞台にした話で、深さもあり面白かったです。

RRR=『蜂起(Rise)と咆哮(Roar)と反乱(Revolt)と』がタイトル。インド映画史上最高額という55億ルピー(約95億円)をかけて製作したそう。

〈あらすじ〉
英領インド帝国(植民地)時代。南インド・アーディラーバード地区の森の中に住居を構えるゴーンド族(テルグ語)の母は、英語を理解できなかったことから、ボディペインティングが上手い娘・マッリをイギリス総督夫人に売ることを承諾してしまう。

母は慌てて娘を取り戻そうとするが、弾丸を使うのが勿体ないという理由から銃殺すらされず、スコット・バクストン総督に一撃で撲殺される。

ゴーンド族は穏やかな部族だが、仲間は決して見捨てない。部族を導く者「羊飼い」のビーム(英語、読み書きはできない)は娘を探しにデリーにやってくる。一方、ある使命を持って総督指揮下のインド人警察官として出世を目指すラーマ(テルグ語、英語、読み書きできる)は、デリーにやってきた指名手配の男を生け捕りにするため奔走する。
やがてこの2人は、ある出来事を機にお互いの素性を知らないまま町で出会い、親友となってしまう。運命のいたずらから始まる、使命と友情で揺れる英雄2人の物語。

1920年当時実在した、アッルーリ・シータラーム(ラーマ)・ラージュと、コムラム・ビームという2人のインド独立運動の英雄がもし出会っていたら?という発想から生まれたフィクションです。

鬼畜レベルの極悪非道な悪役、スコット総督とキャサリン夫人は実在しないキャラクター。
姪のジェニーがイギリスの良心を一手に引き受けていますが、かなり振り切った“悪いイギリス(尊大、傲慢、支配的)”を描いているので、イギリス人の反応が気になる人は少なくないはず。戦時中の日本に置き換えたら大炎上しそうな描写がけっこうあります。

インドのノリで押し切る(おバカに近い)スーパー無双アクションと、「絶対に主人公は幸せになる」と確信できるインド映画の落としどころへの信頼感で、楽しく最後まで見られました。

実在した政治指導者ラーラー・ラージパト・ラーイの解放を求めるシーンがあったり、エンドクレジットで8名の実在した偉人が映し出されたりと、監督のインド歴史上の偉人(下記はネット情報をまとめたもの)に対する敬意を感じたのもよかったです。

① スバース・チャンドラ・ボース(民族運動の指導者)
②ヴァッラブバーイー・パテール(独立運動で活躍した政治家)
③キットゥール・チェンナンマ(東インド会社の併合に反抗した王妃)
④V.O.チダンバラム・ピッライ(独立運動を率いた政治家)
⑤バガト・シン(革命家)
⑥タングトゥーリ・プラカーシャム(政治運動家)
⑦パラッシ・ラージャー(コッタヤム王国最後の王)
⑧マラーター王シヴァージー(マラーター王国を建国、ムガル帝国と戦った)

インド映画にしては思ったより踊らない、でもハイライトや最後ではしっかり踊っていて、(全体的には残酷な話だけど)ハッピー感ももらえる。エンドクレジットでは「やっぱり踊るんだね!」と声出して笑ってしまいました。

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▪️メモ
『バーフバリ』シリーズのS.S.ラージャマウリが監督したインド映画で、劇中歌「NAATU NAATU(ナートゥ ナートゥ)」が初のアカデミー歌曲賞を受賞。

トリウッドは、コルカタ(東インド西ベンガル州)のトリガンジ(ベンガル語)、またはインド中央部デカン高原にあるテランガーナ州(テルグ語)に拠点を置く映画産業。
ボリウッドはムンバイ(インド西海岸)に拠点を置くヒンディー(ヒンディー語)映画産業。
コリウッドは、南インド・東海岸のナードゥ州・コダンバッカム(タミル語)に拠点を置く映画産業。
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