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ヘルドッグスのpeplumのネタバレレビュー・内容・結末

ヘルドッグス(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

邦画でここまで韓国フィルム・ノワールを感じられるとは思っていなかったのでとても嬉しい鑑賞体験だった。
原田監督は『最後の決闘裁判』のブログがダサすぎて人間として尊敬できないのだが、おじさん早口映画はかなり好きなので今回も懲りずに見に行った。岡田くんという絶好の獲物を生かしていてウィンウィンだなと思う。
ロケのヌケが全部いい。『関ヶ原』『燃えよ剣』でも凄かったが、今回のがらんどうな場所の数々は素晴らしい。権力闘争が空疎なものであることをよく伝えてくれた。加えて階段を印象的にとっていて階層表現もよかった。
台詞回し。「小津か黒澤か、ピカソかゴッホか」のくだりとMLBの話題出してきた時、マジで手癖やんと思ってウケた。監督のブログ読まされてるのかと思った。相変わらずおじさん早口とヤクザ社会の怒号が相性良くて組事務所帰ってきた時のオラオラ感はよく出てたと思う。ただし録音は泣いてる。同録にこだわるなら台詞を分かりやすくすべきだし、アフレコしないならもっと明瞭なものをお出しすべき。黒澤映画が聞き取りづらいのとは機器のレベルが違うんだから話が違う。マジでトリビアを披露することが会話だと思ってない?という場面が何個かあったし、監督のこれが俺の映画だというふてぶてしさみたいなものが愛嬌にまでなってなくて、知らない会社の年嵩のおじさんの自慢話聞いてるみたいな居心地の悪さあった。

いつものイマジナリーラインぶったぎりの雑編集が今回鳴りを潜めていてとても見やすかった。編集変わったのかな?と思ったらいつもの息子さんだった。アクションも「なにが起こってるのか分からないから分かりにくくする」という『燃えよ剣』までのメソッドが変更されていて、そんなにストレスは無かった。発砲音がかなり高めに響くのは好みです。
ヒロインは室岡でしょ。『関ヶ原』『燃えよ剣』の戦場に無理やり出させるためのヒロインは解釈違いだったけど今回の室岡はマジでいい。松岡茉優は女性として扱われてる訳では無いと解釈してるので室岡がヒロイン。「俺とこいつどっちが好きなんだよ」みたいな熱いセリフを聞けてよかったです。
岡田くんはフェイタス貼ってなさそうなのがすごくダルそうでよかったです。
北村一輝、これを見る前にガリレオ見たからギャップで悶えた。似合ってて板についてる。
茉優。立派になって嬉しい。おれも茉優と秘密を共有したい。
劇団原田組(大場泰正、田中美央、吉原光夫)もいい働きをしていたと思う。今回はセリフ回しも舞台ぽさを強く感じた。
MIYAVIの美しさをストレートにヤバさに繋げていて大変素晴らしかったです。

ラストのシークエンス、絶対『新しき世界』見ただろ。このテーマで見てないとは言わせない。好きでした。
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