黄金綺羅タイガー

名探偵コナン ハロウィンの花嫁の黄金綺羅タイガーのレビュー・感想・評価

3.0
ドラマチックな開幕がものすごいワクワクする。数分おきにハラハラする場面があって、それが意識を牽引していて全然飽きない。
しかし話の構成がなかなかトリッキーで、はじめに予想していた感じと違ったので肩透かしだったが、要所要所で関連性があって、まとまりがないわけではないすごい不思議な感じのするストーリーだった。

最初は佐藤刑事と高木刑事の話かと思ったら、安室と同期の話だった。
と思ったら、ロシアの爆弾魔vs被害者の会の話だった。
と思ったら、爆弾魔vs安室の話だった。
と思ったら、少年探偵団が活躍する渋谷を舞台としたパニック映画だった。

安室透と同期の話などは通常回ではじっくり出来ない話だろうから劇場版に合っているように思うので、これ一本でやってもよかったのではないかとも思った。
安室こと降谷零と同期のはなしにはジュブナイル的なエモさと失った仲間を想う戦争映画的なノスタルジーがあって良かった。
しかし安室透はほぼアクション要因としての立ち位置で、事件解決までのフェーズでは首輪をされたうえに『羊たちの沈黙』さながらに檻の中に囚われるという属性をモリモリにされたことで、活躍の場面が意図的に減らされていた印象だった。

それにしても、アニメ、漫画では渋谷はいつも壊滅させられそうになる。
渋谷にはそういった魔力がある街なのだろうか。
本作の最後の仕掛けのスケールがデカすぎて、それは怖いのか、エンタメなのかもう良くわからない。
なんだかもう怪獣映画観ている気分だった。
というか、混ざったら爆発して燃えるなぞの液体に子どもの身体がほぼ浸かっても大丈夫なのかが心配すぎて気が気でない。
そんなのは考えたら負けなのだろうけれども…

ただ面白くないのかというとそうではないけれど、名探偵コナンの劇場版のなかで好きなほうかと言われるとそうではないような気もする。
でも要素の違う話を上手く組み合わせた良く出来た話だなとは感心はした。