シネクスー面白映画発掘人

百花のシネクスー面白映画発掘人のレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
2.0
220 - #百花(2022)

※ネタバレなし
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元々東宝社員のチケットもぎりだった#川村元気 が
#電車男 や#告白、 #君の名は 等の企画・プロデュースを経て
17-18年に文芸春秋での連載を自ら監督・脚本を担当した自伝的映画。
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【完成披露試写から寝かすこと約1ヶ月…】
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本作、先日より公開されましたが
実は完成披露試写で事前に鑑賞済みでして…
本当は早め挙げようと思ってたが寝かせてた作品です。

川村元気 大好きとかストーリーが気になる
ってよりもミーハー心から
ナマ#菅田将暉、ナマ#長澤まさみ が見たい一心での応募。
相変わらず席はそんなに近くなかったけど、
2人ともスゲースタイル良すぎて、カッコ良いし、かなりキレイ。
もうモニター越しでみるのと何ら変わらなかったです。

あと#原田美枝子 の手練れ感、#永瀬正敏 の面白クールさも最高でしたね。

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【30代前後の男性が母に会いたくなる話】
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あらすじは認知症が深くなる母を持つ息子の話。
事象よりも息子の感情にフォーカスしているので
お涙頂戴系映画という感じは薄め。
あるあるな親への愛というよりは、
その親との折り合いの付け方、気持ちの整理をどうするかみたいな話。
皆わりと通過する部分ながらも、言うほどテーマ設定されないようなところ。

ジャケットとコピーだけで鑑賞すると
この手の邦画ってなんか女性とか若年層向け
みたいな印象が強いんですが(偏見?)
その視点・年代からいうと
30代付近の男性なんかでも楽しめる作品な気がします。

というのも本作の見どころが、そのリアル性にあるから。
基本、撮影がワンシーンワンカットの長回しで行われていて、
監督初作品だったはずだけど飽きちゃわないかなー
とか最初思ってたんですが、
むしろ主演の感情の起伏がジワジワと伝わってくる没入感を作ってくれて
映画を観ているという以上にそのまま感情が伝わってきた気がします。

男性は女性に比べ、母親と仲良いケースって少ない気もしますし、
気づけば親孝行の視点を落っことしている間柄の人も少なくない気がしますが、
本作を通じて自分との母との思い出を想起することで、
母に会いに行きたくなるみたいな人もいる気がします。

私も最近親にちゃんと会えてなかったりしたんですが、
過去のうまく接せられてなかったことや嫌いな部分が脳裏に蘇ってきたり。
感化されて、
もっと色々話ししてみようかなー
なんて思ったり。
そうそう、こんな影響を受けるので、親子で観に行くとかはお勧めしません。
なんかどんな顔して観れば良いのかわからない気もするので(笑)

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また設定上は、息子が父親になるタイミングでの
親への振り返りだったりもするので、
子視点だけでなく、親視点でも子ども側が考えを巡らす
みたいなこともあるかもですね。

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【キーワード:半分の花火】
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上記見どころと述べたリアル性、
撮影技法以外にも原作・脚本・監督が同一人物なので、
描きたいものを齟齬なくちゃんと描けた
というのも大きい気がします。

あまりこのケースって珍しい気がしており、
大体原作とかから意図が別に盛り込まれちゃったりするもんですが…
原作実写化を何度もやってきた川村元気だからこそ
自作をうまく映画化できるみたいなところもある気がしており、
その点は想いが大分伝わってきた感がある。
まぁ自伝的要素も強いので、結構私物感を感じた人もいそうですけど(笑)

ちょっと逸れますが、、音楽・撮影・照明をみてみると
私と同世代のほぼ平成生まれの人らがアサインされており、
色々な要素で主演と同年代の人が制作している、
そして世代交代が進む中での描き方の新鮮さみたいなのもあるのかもしれません。
全然分野違えど、同世代として活躍している人がいるのは
嬉しさ反面、嫉妬心反面って感じですね(笑)

反面と言えば…
本作だと劇中に出てくる
『半分の花火』
が大きなキーワードになっており、
勿論それ自体も大きな意味を成してるかと思いますが、

・記憶の覚えている半分と覚えていない半分、
・母の視点と感情がなく視点が息子だけの半分、
・支えたい気持ちと怒りの半分、

等、『半分~』の要素が色々な側面で軸になっているというのも
本作を飽きずに没入できる要因の1つなのかも。

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というわけで、
夏ももう終わりですが、寒さが来る前に、
そしてお母さんが元気なうちに、
本作劇場鑑賞、是非、いかがでしょうかー?