李

VORTEX ヴォルテックスの李のレビュー・感想・評価

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)
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「心臓より先に脳が壊れていくすべての人へ」
スクリーンが2分割されるため目を泳がす必要があって忙しい。挑戦的で面白い。左2人(知らない人だけど)中盤から永遠と船漕いでるし、私も左に倣っておそらく10分くらいだけど意識が飛んでしまった。特別なことは何も起こらず、ただ人が旅立っていくまでの過程を眺める。辿る道は人の数だけ違えど、老いと死は誰にでも訪れる普遍的なもの。さっきまでそこに存在していたものを一瞬で攫っていく。私は結婚願望が強いわけではないけど、友人が結婚するべき理由として「身内が今後どんどん亡くなっていく中で1人になってしまわないように」って話をされて納得したという話を前にしていて、(私もなるほどとなった)それを終始思い出した。自分もいつか認知症やその他病気を患う可能性は高いし、その時ひっそりと自宅で孤独死するのは嫌だな、誰かが横にいたとて先に旅立たれるかもしれないけど、途中まで人生を共有できる相手がいるといないじゃ違うところはあるよなみたいな… 子どもがいたら尚更ですよね。あとは、死ぬまでに行きたい所やりたい事沢山あるけど、実行したとて頑張って乗り越えた辛かった記憶も楽しかった記憶も無に帰するんだよな…とたまに考えるんだけど、その哀しさ虚しさも感じました。鑑賞側の境遇によって感じ方が大きく変わる映画だと思うけど、私はとても身近な人の死にまだ関わったことがないこともあり、1番に老後の心配、2番に死という掴めない存在の不思議さみたいなものを感じた。死ぬってどんな感じなんだろう。記憶はすべて消えるんだろうか。そこが分からないこそ、いつ終わりを迎えるか分からない人生を目一杯過ごす必要があるんだろうなとも思う。人生はとても不思議です。好みか聞かれると正直退屈な気持ちの方が勝っていたし微妙かなー でも、このポスタービジュアルはかなり好き。
李