ひとつだった画面が、冒頭でじわじわと分割されて、スプリットスクリーンに。
この手法で老夫婦の最後の日々が表現されているのがおもしろくて、長く連れ添った人でも認知能力の低下でわかり合えなくなったり、結局は別々の最後を迎えるという、孤独でシビアな現実をみた気がする。
脚本はあまり決まっていなかったようで、演技はほぼアドリブだそう。
そのせいか会話の適当さが家族っぽくて妙にリアリティ。
妻（フランソワーズ・ルブラン）の行動は何を目指しさているのかまるでわからず、常に不安にさせられる。
夫の原稿を破ってトイレに流した時は笑ってしまった（笑）
それをみて「何もかもめちゃくちゃだ」とメソメソする夫（ダリオ・アルジェント）。
真面目にみると笑えないけど、老いによる予想外な行動て悲しみと笑いが紙一重。
笑える時点で、まだ自分は現実感があまりないのかもしれん。
ひたすらに老いと死を映し続ける作品。
