素晴らしかった。
夫婦だろうと家族だろうと恋人だろうと友人だろうと、お互いがどこで何して何を考えてるかなんて、見えてないところでは分からなくて、分割された画面の様にどこまで行っても結局人は個人同士なのだけれど
それでもやっぱ片方の画面がなくなると寂しいし、面倒でも憎くても一緒にいたかったり、辛くても生きててほしかったりする。
でも、人間ってあまりにも人と一緒に生きたり、誰かが死んだりすることへの痛みが強すぎて、なんて願望と生態がかけ離れてるんだろう。マジで欠陥だよなこの作り。ともいつも思っている。
あんなに手放したくなかった家も思い出も、認知症になっても先に逝った旦那を追いかけた想いも、死んだらそれまでとなり、数枚のスライドショーでまとめられて、小さい壺に入れて壁に埋め込まれて終わり。
生きてる人はロマンチックに浸れるかもしれんが、死んだ本人からしたら「マジか」と思うだろうし、やっぱり見てて僕は「あっけないな。。。」と思ってしまった。
だけどそれが現実よな。
でもそんな刹那と哀愁こそが人間的だと僕は思っている。
最高傑作であり遺作っぽさが凄いなと思ったけど、ノエまだ59歳。
そう考えるとあまりにも強烈なフィルモグラフィー。
飾る事なく、誠実に死と向き合っているとても良い映画だと思いました。