みーすけ

VORTEX ヴォルテックスのみーすけのレビュー・感想・評価

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)
4.0
心臓病の夫と認知症の妻の終末の日々をフランスの鬼才ギャスパー・ノエがセックスも暴力も無しに描く。
『アレックス』が酷すぎて二度とギャスパー・ノエは観ないと思っていたけど、撮影方法とかアルジェント出るとか聞いてつい観てしまった。
夫婦お互いが病気でそれだけでもしんどいのに、夫に長年の愛人が居るようで しかもその関係も終わりかけているらしいし、妻の病状は深刻で 息子に『あの人は誰?』と夫を指差すほど。
そんな息子はドラッグの回復プログラム中と何だか色々身につまされる。
話題の撮影方法だが、画面が二分割されており絶えず二人の人間を同時に別カメラで撮影している。二画面= 愛し合う家族も、所詮人は相手の事など分からない。 最期は独りと言う究極の悟りの提示か。
とにかく内容がしんどく辛いのは、わたしが3年前に母を亡くした事をまだ乗り越えられていないからだけでなく、自分を含め生きとし生けるものは全て同じく朽ちるのだと『それを言っちゃあおしまいよ』を差し出されるから。
下手なホラーより怖い。
怖いと言えば 演技経験の無いアルジェントはセリフや演技がアドリブ多用らしいのだが、気合いの入った咳が本物で怖かった。
あれは喘息発作のピークの時に出るヤバいやつよ。
あとこれを書いたら酷い人だと思われるかもしれないが、後半夫が発作で倒れるシーン、翌朝 妻が見つける所で
『まだ死んでないんかーい!』って突っ込み笑いしましたごめん。
でもそれで少し気持ちが軽くなり その後の更なる辛い展開を最期まで鑑賞できたので良しとする。
うん大丈夫お母さん そんなにかからずまた会えるよね。
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