吉良吉影

VORTEX ヴォルテックスの吉良吉影のネタバレレビュー・内容・結末

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

認知症の実情、夫と息子の介護に対する悩み。スローペースなテンポが実生活感な演出を与え、生々しさが感じられた。老夫婦の死へと向かう重々しい雰囲気が流れ、老いへの恐怖を抱いた。

認知症の介護は本当に大変そう。妻が夫の机の書類を勝手にトイレに流したシーン。普通なら激怒しそうだが、相手が病気な上に怒れなく、やるせない気持ちになるだろう。

息子がまともな人間だと思っていたが、薬を売買し、挙げ句の果てには息子の前でドラッグ。両親が突然死んで悲しみの余りに突き動かされてしまっただろうが、少し残念。

葬式のスライドショーでアルジェントの若き写真が流れるシーン。シリアスなシーンが続く中でも、既視感のある写真で笑った。多分妻役を取ってつけたような編集をしたのだろうか。

認知症の映画は『ファーザー』が一歩先に飛び抜けていると思う。二画面分割とワンカット風な撮り方は革新的で、この作品も良かったが、あまりにゆったりとしているため眠気を誘われた。それほど、何の変哲もない日常を描いているからだ。
吉良吉影

吉良吉影