ろまらん

VORTEX ヴォルテックスのろまらんのネタバレレビュー・内容・結末

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

凄い。やっぱりノエは本物だな。老いと死についてのいろいろ苦しいリアル、見に行きたいけど辛過ぎるかな、と躊躇してたが、映画館行ってよかった。そこにはちゃんと映画的な喜びがあった。
2画面についても始めは違和感あるもののだんだん慣れて意味がわかる。ノエだから強めの表現も覚悟してたけど、寧ろ静かな優しい映画。愛人に電話する夫やスターリングラッド周辺の麻薬事情と絡めながらの息子からの視点もよくある辛辣なものでなく、優しさに溢れてた。
もちろん実際日々一緒に暮らしていれば本人の突然の怒りや愛あるが故の衝突があって当たり前だけど、そこは敢えて描かず年老いた親にどう接すればいいかを示唆するようなラジオの声や、家族の話し合いなどがノエの賢明さを表してる。
ラストに向けて、訪れるその瞬間の表現、母の膝で聞く子守唄、若い頃の輝く笑顔、主を失った部屋、そして片付けられた部屋のショットに声を失う。映画でしか表せないもの。
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