このレビューはネタバレを含みます
大傑作。
ギャスパー・ノエの作品は一回も観たことがなかったが、どうやらハッピーにはなれなそうだなと悟りながら覚悟して鑑賞。
予想を裏切る美しいカット、やりきれない苦しみや家族関係、親子関係、個人の抱える問題など人間味にあふれた作品となっており引き込まれてしまった。
2分割のカットも斬新だが、基本的に単調に進んでいくので特に疲れることはなかった。
VORTEX=渦
作中では印象的にトイレの水が渦巻いていた。
トイレにはまず、夫が一生懸命書いた原稿が流され、終盤で薬が流される。
夫(ライター)を象徴する原稿と、妻(医師)を象徴する薬が共に渦に飲まれていくのは、2人が人生という渦に飲まれて死へと向かってゆくことの暗喩なのかもしれないと思った。
そう思うと人生は夢、夢の中の夢、まるで渦を巻いているかのような言葉に感じる。