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VORTEX ヴォルテックスのotomのレビュー・感想・評価

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)
5.0
配役も含め変わる事なくキレキレに攻めてくるギャスパー・ノエ。どうかすると人との繋がりを錯覚する世界で、徹底的に分断された人間って云う個体の現実を見せつけられる。あの世(もしくは病)には物も過去も更には愛すらも持って行けず、最後は只々灰になる事を思うと、持たざる者の強さを再認識する。『夢は短く、夢の中の夢はさらに短い』と人生とは一本の映画、夢の様な儚さですなって事で、なんと云うか苦しくなってくる。で、ダメ押しみたいな具合に生者と死者もキッチリ分けてくる丁寧さ、ソラリスの海みたいな都合の良いもんは画面の中だけでこの世は受難の渦なキビシイ描写にダリオ・アルジェントじゃないけど発作を起こしそう。そんな儚い人生なのに悪い奴らがウヨウヨいるフレンチの現状を憂う辺り、我が国の未来も対岸の火事じゃない模様。と、モリコーネバックに薬の吸引と処分の絶望的CLIMAX。傑作。
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