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ブライアン・ウィルソン/約束の旅路のmimagordonのレビュー・感想・評価

5.0
『Pet Sounds』は私が生涯でもっとも愛するアルバム。中学の通学電車の中で何度も聴いては涙を流してた。歌詞の意味はよくわかってなかったけど、それでも学校にも家にも居場所がないと感じていた私には強く響いたし、この上なく美しい天上の音楽だと思った。今も辛くなったとき戻ってくるアルバムだ。ブライアンが音楽家としていかに天才で唯一無二かは既に語り尽くされているからか、よりパーソナルかつ「今」の視点から語られるブライアンの物語は、一緒に車に乗っているような親近感だった。今でも心の病と闘っているとは...恥ずかしながら知らなかった。劇中ブライアンが感傷的になるシーンはこっちまでもらい泣きしてしまう。けれど、そこにいるのは、今も昔も変わらない「ブライアン・ウィルソン」という素直で暖かい一人の人間。そして彼が一歩スタジオやステージに足を踏み出せば、彼はこれまでのように創作力を爆発させるのだ。ビーチ・ボーイズやブライアン・ウィルソンのソロ作品が大好きな私にとって、ブライアンが歩み続ける「約束の旅路」をこの映画で辿れたことで、彼の作品とブライアンのことがもっと好きになったし、ブライアンが一線を退いていた時期のビーチ・ボーイズの作品も、さらに好きになりそうだ。そこには兄弟の確固たる絆があったのだから。音楽ドキュメンタリーとして真新しいものではないかもしれないが、なぜビーチ・ボーイズとブライアン・ウィルソンの音楽がここまで美しいのか、その答えのない答えに一歩近づいた気がする。号泣。
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