雨丘もびり

こころの通訳者たち~what a wonderful world~の雨丘もびりのレビュー・感想・評価

5.0
「見えない人たちに手話を伝える」
舞台手話役者の居る演劇を、音声ガ
イダンスで伝える試みを追ったドキ
ュメンタリー。サブタイトルの意味
は最後まで見ると深く沁みる。
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....すごい。鳥肌立った。
観る前はよくわからなかったし、観
た後も、なんて書いたら伝わるか?
わからない。ただ、一緒に劇場で観
賞した人たちと、無言で感動を共有
した手ごたえだけ持って帰りました。
映画館ってスゴい。ぜひ劇場で!
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手話の動作説明(私/嬉しい/晴れ)を
ラベルと呼ぶそうなんだけど、音声
ガイダンスをラベルの羅列にすると
"乱暴"に感じられて傷付くそうだ。
まずその感覚が私にはわからないし
知らなかった。
手話で対話する方々が大切にしてき
た価値観に対して私は無頓着だ。
視覚と聴覚、それぞれに特化してコ
ミュニケーションしてきた人々を繋
げる試みの大変さに、めまいがした。
正直、ムリじゃない⁈って投げたく
なる大変さを感じた。
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そんな中、すべての人々の要求を満
たすことは無理だと決めて、今回は
ひとまずラベリングのガイダンスを
作成して成果を確認しようと方向性
を決定した平塚P、超カッコイイ。
「成功とは、失敗から次の失敗へと
迷いなく進むこと」W.チャーチル
怯えに見切りを付けて前例を作り、
学びを得ようと踏み切る勇気に鳥肌。
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だからこそ、私はへそ曲がりなので、
出来上がった音声ガイダンスに満足
しなかった人の意見も聞きたかった。
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ただ、完成した音声ガイドを聴いて
ゾクゾクッ!と震えたのは本当。
うるさいしやかましい。演劇の芝居
台詞と手話の説明が、叫びまくって
る音声だから。
でも、"そういう演劇"であることは
すっごく伝わるし、わかる。
何より、こんなに混乱した情報に晒
されて生きてたのか私たちは...って
再認識できて震えた。
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音声ガイドモニターさんの感想
「役者さんと手話役者さんが視える」
に深くうなづいたし、涙する平塚Pに
貰い泣きした。
他人って遠くて近いのね。
相変わらず私はその島と島の飛び越え
方がわからず、踏み留まってしまうの
だけど。
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音を発するなら、存在するということ。
隣席の方が飲むコーヒーの匂いが、この
日は好ましく感じました😊。