見えない人に舞台手話通話者のドキュメンタリーをなんとか届けようという音声ガイド制作の記録。
見えない人に伝えたいという強い思いはすばらしいと思うのだが、やはり平塚さんは見えない人サイドの方なんだなとは思った。
私はバリアフリー字幕制作者として聴こえない人サイドの人間なので、本作中に登場していた手話通訳者の瀬戸口さんと同様、手話をラベルで伝えるって乱暴だと思ったし、ろう者にとっての言語である手話を軽視しているように感じられてしまった。見えない人に伝えるには最善の方法だったんだろうなとも思う反面、ろう者の廣川さんの後押しをアリバイにしてしまっているようにも感じられた。
手話歌のMVでろう者のパフォーマーの協力を得るのもアリバイに感じられてしまった。手話歌が手話話者界隈でどれだけ敬遠されているかを知っている身としては。
とても複雑な気持ち。
でも、その辺りの葛藤が率直に描かれていたのは救いだった。
見えない人は聴く人で触る人だし、聴こえない人は見る人なんだということが伝わる作品ではあって、その点はとてもよかったです。
音声ガイドもバリアフリー字幕もさすがにとても工夫されていてユニバーサルな作品ではあった。