さくぞー

屋根裏のラジャーのさくぞーのネタバレレビュー・内容・結末

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

大規模公開ながら、バズっているゲ謎・トットちゃんにディズニーのウィッシュに囲まれてスルーされている印象。実写作品含め話題作はだいたい観に行っているが、中でもかなりガラガラで驚いた。

個人的にもかなり期待値は低かったが、これが中々良かった。こういうイマジナリーとか玩具が主役の作品は基本好きなのもあるが。
原作が海外なので、序盤のラジャーとアマンダの掛け合いはディズニー/ピクサー作品のような軽妙さがあり日本アニメとして新鮮で良かった。またバンティングのキャラや終盤の想像力対決などには映画クレヨンしんちゃん的な子ども向け映画ならではのロマンとシリアスな中にあるユーモアが感じられる。日本アニメ映画として「ジブリっぽい」前評判を覆し、オリジナリティが高い作品だったと思う。

ストーリーもベタだが熱い王道展開もあり目頭を押さえるようなシーンも随所にあったが、かなり強引に差し込まれている部分もあるのが残念。スマートじゃないと言うべきか。ラジャーとアマンダの喧嘩もあまり意味がなかったし、ジュリアが普通に病院にお見舞いに行くみたいな流れでよくないか。ここらへんは本作に限らず邦画がずっと抱えてる問題。最近はディズニー/ピクサーもこういうとこ増えてきたけど。
大きな出来事が起こるまでが長すぎる点も×。予告で出してるイマジナリの世界が出るまで長い。
色々と複雑なので表面的で薄いと思われてしまいそうな感じはある。面白さも脚色より原作の良さかなあと。今年観た原作ものアニメ映画で一番原作が読みたくなった。

タイトルが出るまでの流れは◎。原題もあって良かった。
骨っこガリガリが本当の友達できた家の前にバンティング立ってるシーン超怖くて良い。ジャンプマンガだったら鬱展開だったね。

イマジナリが想像上の存在の割に物理的な障害に弱いのがずっと引っかかる。中盤にバンティングのセリフで「想像は現実に勝てない」と言われ腑に落ちたが、妙にリアル過ぎる気も。
また、想像の世界と言いつつ割と現実世界の旅行みたいな感じに留まっているのも肩透かし感。『マイ・エレメント』や映画ドラえもんなどレベルの見たことない世界観を期待した。図書館にある本を基にしてるから現実世界に行くことになるという理由付けはなされているものの、前述の物理的問題と合わせてルールと観客側の持つイマジナリへの想像=自由なイメージが上手く噛み合ってないように思えた。
冷蔵庫は原作を尊重したら仕方ないんだろうけど、オーブンみたいな名前感がもっとある家電にしてほしかった。
ラスト結局お別れみたいな雰囲気あったのは嫌だった。ずっと一緒にいろ。
バンティングとそのイマジナリの掘り下げもあったらもっと評価上がってたかも。

心くん上手いです。オーロラになった時に「こんな声も出せんの!?」と思ったがそこは杉咲花だった。でも心くんが女の子の声出してる感があったので杉咲花も安定してるなと。山田孝之、寺尾聰、高畑淳子も大安定。
鈴木梨央は『ローガン』で吹き替えしてるのもあってキャストの中でもレベチの声優力。
トランスフォーマーに続き仲里依紗の声優力の凄まじい向上に驚愕。

映像:======A
脚本:=====B
編集:====C
俳優:======A
人物:======A
音楽:=====B
音響:=====B
【MVP】ラジャー
さくぞー

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