きねぼっち

屋根裏のラジャーのきねぼっちのネタバレレビュー・内容・結末

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

アニメはすごいし、色彩も鮮やかですごかった!

一方、全体的にキャラのデザインがどっかで見たことある感もすごい!
敵のイマジナリー、三つ編みじゃないウェンズデーあるいは病気のエミリー・ザ・ストレンジやん。
ラジャーなんかは地味だから、イマジナリーなら普通の人間じゃないっぽさをだしてほしかったかな。

あと、ストーリーがなんか散漫かな~。
結局、本作のテーマって、成長によって無くなっているのは、自分の一部分なんだよ、という指摘だと勝手に確信。

というのは、アマンダがラジャーに課したルールが、アマンダが自分に課したルールとほぼカブること、ラジャーがアマンダの母を何の違和感もなくママと呼んでいることが理由。
ラジャーはアマンダがガマンして表面化できない感情や意見を吐き出すための、もう一つの人格となっている。

また、人間の自我を持つ、つまり彼らも人間(の一種)であるがゆえに、創造主に忘却されても独自に行動し、集団を作ることにある程度の説得力を持っていると勝手に推定。

となると、ストーリーとテーマがチグハグになっているような気がする。
本来ならアマンダは昏睡状態にならず、母の再婚が嫌でラジャーと家出とか、昏睡状態になってもラジャーがアマンダを目覚めさせようとするなどの、二人の関係がメインで取り上げられるはずだと思う。

でもストーリーはイマジナリー国や、敵との戦いという、わき道にそれていっている。
世界観としてはいかにもジュブナイル的で面白いような気もするけど、ディテールに凝った設定にとらわれてしまったような気もする。
なんつーか、どうでもいいところを膨らませ、過大に扱ってしまっているというか・・・正直、アマンダとラジャーの対峙を描くのを避け、ラストで雰囲気に紛らわせてふんわりと終わらせているのは、ストーリーとしては逃げではなかろうか。

ほんと、アニメーションは素晴らしいのに・・・惜しい作品!!!

余談。

にしても、敵のじいさん、言動が犯罪者的でヤバすぎ。
ウェンズデーみたいなイマジナリー連れてるのもアブなすぎるし、イマジナリー食うっていいつつ、ラジャーだけをターゲットにしているのもイヤらしすぎる。
しかも、終盤のラジャーがチュチュ着せられて女の子になりそうになったり、ちょっとお姉さんの敵と取っ組み合いになったり、太ったじいさんにかぶりつかれたりと、変態的というか、大人のケガれたフェチっぽさがうっすら醸し出されてて、ちょっとドギマギ。
狙ってないよね???


2023/12/24 追記

こういう題材、宮崎駿監督だったら、絶対やらないだろうな~と勝手に断定。
宮崎監督は本作のイマジナリーのような設定はイヤがると思うんですよね。
なにがというと、子供の空想であるイマジナリーに独自の意思や世界があるという設定って、想像の世界は現実と同等の価値があるということになるよね。
でもそれって、すごくオタク的な感覚では?
確かに、イマジナリーと別れられないために化け物になってしまったミスターバンディングという存在を否定的に登場させているけど、単なるアリバイにしか見えないよね。
そもそも、提示されている世界観がいびつで、イマジナリーなどさっさと忘れるのが普通の人であり、対して、イマジナリーにも人格がある、世界があると愛着を抱くのはミスターバンディング的な人物となってしまう、とされていても、本作ではイマジナリーであるラジャーが主人公となって、忘れられる悲しさを訴えているんだから、観客はどう感じればいいのかわからなくなるよな。
主人公に同情するとミスターバンディングだし、だからなに? と突き放すこともできないし・・・ジブリの後継も難しいな!
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