柾木嶺

屋根裏のラジャーの柾木嶺のネタバレレビュー・内容・結末

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

ダメ映画オブザイヤー
金はかかってるからなんとなく面白い雰囲気にだけはなるけど、雰囲気だけ
夢バトルしようぜ!


設定と世界観がガバガバすぎてほんと自分の好きな画を描くこと意外興味ねえのが伝わってくる

いちばんダメだなってところは多分ターゲットというか、誰に見てほしいとか考えてなさそうなところ

まずヨーロッパの街(原作者の出身であるイギリスか?)が舞台、主人公は本屋の娘という設定なのに「観客が読まないといけない言葉」だけが日本語でそれ以外は英語で書かれてるのがクソ
ディズニーみたいな翻訳でそうせざるを得ない作品ならわかるが日本産の作品でそれをやられるとほんと萎える
普通に英語で統一するべきだし、そうじゃないならせめて日本語で統一しろ
同じ画面に「制作側の都合で」言語が入り乱れてるのはまじであり得ない

同じことはネーミングやモブのデザインにも言える
冒頭ラジャーは想像の牛みたいな動物に「牛丸」という名前をつける
また途中で仲良くなるイマジナリーの名前が「コユキ」だったり、卵サムライみたいなキャラが酒と書かれた日本酒を飲んでたりもする
毎日変わるイマジナリーの街が一度長崎の出島になった時はさすがに笑った
そのビジュアルは誰のためのものなんだ?

結局この辺、なんとなく「世界でウケるものを」とか考えてターゲットに具体性がないまま作ってるから明らかにおかしいことが起こっててもスルーしてるんだろう
観客をなめてるとかじゃなくて、そもそもこの監督細かいこと考えるのが苦手なんじゃなかろうか

例えばさっきのデザインの話、もちろんイギリス在住の日本人の子供のイマジナリーだとか、日本のコンテンツが好きな子供のイマジナリーだとかこじつけは出来るかもしれないが、全体として「どういう子供が考えた友達なのか」という考察がめちゃくちゃ甘い
クレジットに「モブイマジナリーデザイン」とか描いてて、モブとしか考えてないからそうなるんだろとひとり納得した


キャラだけじゃなく能力の設定もかなりガバい

イマジナリーは物理的に存在しないから夢バトル中しか世界に干渉できないはずなのに、何故か冒頭でラジャーがアマンダを肩車してるシーンが出てくる
ルール無視。

そして何より敵のバンディング
こいつ自分で「想像より強いものが何か知ってるか? 現実だよ」とか言っておいて最強の夢バトラーであり、なぜか自分のイマジナリーだけじゃなく自分の寿命まで伸ばしている
こいつもルール無視
現実のが強いなら老衰で死ね
まあ自分のイマジナリー食って「腐ってる」と食レポして死んだのはなかなか良かったと思う

他にも細かいセリフ回しとかリアクションとかエミリのことなんでラジャーだけ忘れないん?みたいなのもある


そしてストーリーラインだが、これはまあ普通に普通
物語の哲学部分に監督のフィルターとかがかかって無さそうだから、別に原作読めばいいだけ

総じてあまりにも作り込みが甘くて無味無臭
柾木嶺

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