horahuki

血まみれの吸血鬼のhorahukiのレビュー・感想・評価

血まみれの吸血鬼(1962年製作の映画)
3.5
本当の敵は校長先生の話!

Amazonプライムで配信中のメキシコ産吸血鬼映画!吸血鬼を倒すために博士がクスリを精製→美女の死体に注入→吸わせてkill👍という、回りくどいけど映画的に映える戦法で挑む!相手が本当に吸血鬼か確かめるために、博士の娘が屋敷にメイドとして潜入して囮捜査→案の定危ない目に遭うよってお話。

突然レアなメキシコ産ホラーが数本追加されたからビックリした!Amazonプライムやるじゃん!この調子で『El Vampiro』とかも追加してほしい!!メキシコ産吸血鬼といえば…な独自の吸血鬼設定を毎度の如く仕込んでくるのが流石だし、その設定がほぼほぼ空転して意味のないものになってる歪さも堪らない!!🤣

何が歪かって、冒頭30分くらいかけてvs吸血鬼のリーダーである博士が「吸血鬼は2種類いる…」とか「クスリの効能が…」とかの説明を長々とし続けるだけど、全部意味ないどころか肝心の博士もそれ以降全く出てこないという、この時間なんだったの?感…🤣

変にそんな感じの独自ルール作ってるからややこしい上に説明セリフが長すぎるし、更には読みづらいAmazon字幕という眠らせる気なのかな?ってくらいの最強布陣!校長先生の話と良い勝負な睡眠誘発力!

ただ、冒頭の幻想的なシーンが頭おかしいレベルのカッコ良さでそこだけでも見る価値あり!強風の音と教会?の鐘の音だけが鳴り響く中をスローモーションの馬車が物音一つ立てずに駆け抜ける。真っ暗な画面に霧が境界を作り出していて、その中に吸い込まれるように入ってくとことか美しすぎる!ここで一気にテンション上がって「凄い映画きた!!!」と思ってたら、その後ソレを超えてくることはなく…。

恐らく『The Curse of the Crying Woman』と同様に本作も『血ぬられた墓標』影響下だと思うし、このシーンはオッソリオの傑作『エル・ゾンビ』の黒衣騎士たちの演出に影響を与えてると思う。スローによって決して生者とは相容れない異界化、そして生と死を演出するのもそのまんま。でもオッソリオの方がその意図する意味合い的に洗練されてるかな。

というか、ほぼほぼ不倫クソ夫(吸血鬼)に監禁されてる可哀想な奥様…という結婚怖いよホラーになってるのもメキシコホラーっぽい。モクテズマ作品群もそうだし、『The Curse of the Crying Woman』もそうだし、男権的な社会構造批判に傾いていくのは割と共通した主題なのかも。『El esqueleto de la señora Morales』は逆サイドからの結婚怖いよホラーだったけど、結局はキリスト教批判からの同様な旧来的価値観批判だから方向性は同じだし。

私は校長先生の話に負けてゲヘナ堕ちしたので、もしかしたら序盤の説明パートも全て何らかの意図があるのかもしれません!校長先生にリベンジできる日までスコアは無難な3.5で!
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