このレビューはネタバレを含みます
クレヨンしんちゃんの家族愛ものの到達点は「ロボとーちゃん」だと思っていたけれど、あちらが「家族の終わり」を描いてみせたアプローチとは異なり、「新しい家族」の物語だった。
最近の作品になる程、「家族愛」的なストーリーは滑っていると思っていたけれど、本作は結構泣ける。
ひまわりが初登場した「暗黒タマタマ」の時に本来やるべきアプローチだったのだろうが、まだあの頃は感動路線に振り切れていなかったので今更やっている感もちょっと否めない。
主人公のしんのすけというキャラクターはご存知の方も多いと思いますが、ほぼ涙を見せないキャラクター(みさえに殴られて泣いたりはしていましたが、悲しくて、切なくて泣くという描写はそんなにないはず)。
だけど劇場版ではちょこちょこ泣いていて、前述の「ロボとーちゃん」で少し目に涙を溜めていたし、「アッパレ戦国大合戦」では号泣シーンがある。
今作は両親と離れていることの不安から泣いてしまうシーンがあるのだけど、割りかしそこは違和感。
そこの心の強さがしんのすけらしさだと思っていたので、普通の五歳児的な反応に戸惑ってしまった。
劇団新感線の中島かずきさんは、生前に臼井先生とお話しした際に「しんのすけは真正面から笑わない。ハードボイルドなんですよ」と言われたそう。
そう言う意味で、私は「ブタのヒヅメ」でぶりぶりざえもんが消滅した時のしんちゃんの泣き方が一番「らしい」と思っている。
しかし川栄李奈さんの声の演技うますぎる。
普通に本職の声優さんかと思った。