ハイエナちゃん

機動戦士Zガンダム -星を継ぐ者-のハイエナちゃんのレビュー・感想・評価

2.9
「映画」として純粋に評価すると最低。TV版のファンとして見ると、3点ぐらい。監督の試み自体は5点の評価。その理由を書いていきます。

●映画としては最低
そもそもテレビシリーズを映画にまとめるのは無理がありました。
初代ガンダムは人間臭さあふれる群像劇でありながら、ストーリーラインの中心は少年の成長ドラマ。映画版ではTV版の多くのエピソードを省かれていました。
ですがアムロの成長過程にフォーカスしていたので、映画としてのストーリーラインが成立したわけです。

一方でZガンダムはそもそものTV版が主役カミーユそっちのけの群像劇でした。初代ガンダムからのキャストが多かったことや、ライバル役、敵対勢力内の対立など人間関係が複雑化したため、カミーユ自身のエピソードは薄く、エピソード同士のつながりも弱く断片的でした。

こうした背景から、どのエピソードもZガンダムを語るうえで必要不可欠となっています。映画版として省けるエピソードがほとんどなく、TVシリーズだから成立したストーリーだったとも言えます。

したがって、映画にしたことで、カミーユの成長過程を明るく語るには言葉足らず。また前作のキャストを削ることができないため人の出入りが多く、ごちゃついたストーリーラインの映画になってしまいました。

3部作とはいえ、1作目で何を見せたかったのか全く分かりませんでした。

一方でTV版のファン目線で見た場合。
人間関係や組織にまつわる内容が複雑だったZガンダムをわかりやすく見ることができます。また見せ場となる場面も新規カットが追加され、迫力が増しました。そういった点では見る価値があると思います。
”もう一度”TV版を見たいなという人にとっては、いい作品です。
ハイエナちゃん

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