chiyo

麦笛のchiyoのレビュー・感想・評価

麦笛(1955年製作の映画)
3.0
2021/5/9
所謂一種の童貞こじらせもので、伸夫の女性への接し方が本当に不器用。ただ口下手なだけならまだしも、攻撃的になる質だから余計に誤解されやすい。そんな彼が開眼するのが、足へのフェティシズム。下駄の鼻緒が切れて素足で階段を上るお玉、寺へのお参りで本堂に素足で上がるお松、二人の女性の素足が描かれる。特に後者は、伸夫が本堂の階段の下に身を潜めていることもあり、窃視の傾向が見られたりも。そして、その後の彼の行動は常軌を逸しているものの、こじらせっぷりがよく分かる。また、話が進むにつれて鬱々としてくるけれど、序盤は友人・表の母親演じる浪花千栄子がコミカルで、橋で荷車が逆走しかけるシーンに思わず笑ってしまう。それにしても、お松演じる越路吹雪が妖艶、警官演じる左卜全はそこに居るだけで面白い。
chiyo

chiyo