リプリー

恋は光のリプリーのレビュー・感想・評価

恋は光(2022年製作の映画)
4.3
本来なら食指の動くタイプの映画ではないし、「キラキラ恋愛映画は苦手」なんて言うこともある。しかもタイトルが「恋は光」。
それでもあの「殺さない彼と死なない彼女」の小林啓一監督作品となれば話は別(プラスなーちゃんこと西野七瀬が出てるのも大きいが)。
結論から言うと、個人的にとても好きな映画になった。小林啓一監督、次回作も駆けつけることがもう決定したくらいに。
何より出てくるキャラクターがすべて愛おしい。恋する人(女性)の発する光が見えるという主人公・西条(通称先生)、その幼なじみで西条に密かに想いを寄せる北代、西条の前に突如として現れ、恋とは何かを定義しようとしている東雲、そして略奪することでしか恋ができないという宿木。
ちょっと風変わりなキャラクターたちが交わす「恋とは何か論」。形而上学的、経験論的、あるいは直感的にアプローチされるも掴めそうで掴めない何か。でも、人はそれを求めて止まない。
きれいなものではないかもしれない、利己的とも捉えられるかもしれない、でもきっと恋っていいもの何だと不思議と思える。
久しぶりに恋愛ものを見て最後に「おい!早く言えよ、バカ!」なんて焦れてしまった。
それでもここに出てくるみんなに幸あれ!と思えたし、見ていて本当に気持ちが良かった。
独特のテンポの間に挟まるギャグも秀逸だし、僕はとにかくこの作品が好きになってしまった。

最後にどうでもいい事だが、主人公がバイトをしている文字校正の仕事。普通の校正は原則として誤字脱字、間違った用法を正すもので、平仮名で書いてあるものを漢字に正したりはしないけどなぁ、なんて仕事柄どうしても引っ掛かってしまった。