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生れてはみたけれどのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)
4.0
小津安二郎監督のサイレント期を代表するコメディで、日本のサイレント映画の頂点と言える作品。
子どもの目を通して、サラリーマンの悲哀をユーモアを交えた暖かい視線で描いている。
原作はゼェームス・槇(小津安二郎)。
撮影・編集は茂原英雄。
撮影補助は厚田雄春。
今回の鑑賞は「新音声版」で、声の出演は佐野史郎と倍賞千恵子。
モノクロ、スタンダード
(1932、90分)

東京の郊外ある重役=専務(阪本武)の家のそばに引っ越してきたサラリーマン一家4人の物語。
・父親(斎藤達雄):厳格。子どもたちにしっかり勉強して偉くなってもらいたい。
・母親(吉川満子)
・腕白な小学生の兄弟:
長男、良一(菅原秀雄)
次男、啓二(突貫小僧)

弟が地元のガキ大将亀吉(飯島善太郎)とそのグループにぶたれ、兄が現れるが、亀吉は大きくて、相手の人数も多く、なかなか手強い。
転校先の学校で苛められそうなので、兄弟はズル休みをして、河原でお弁当を食べたりして時間を潰したが、父親に分かり叱られる。
何としても学校へ行かなけれならなくなったので、酒屋の小僧(小藤田正一)に頼んで亀吉をやっつけてもらい、兄弟はグループの大将になる。
亀吉の父が怒ってやってきたことから、子どもたちの間でどこのうちの父ちゃんが一番偉いかとという話が始まる。
でも、どこの子どもたちも、自分の父親が1番偉いと思いたいのだ。
そんなある日、重役の家に活動を見に行った兄弟は、変顔をしたりタコ踊りをして重役のご機嫌とりをしている偉くない父親を見て、我慢できなくなる…。

~その他の登場人物~
・重役夫人(早見照代)
・重役の坊ちゃん、太郎(加藤清一)
・伊藤先生(西村青児)
・映写機を回す部下の一人(笠智衆)

"十字を切る"→"仰向け"
"習字と甲の字"
"雀の卵"
"ちえの輪"
"握り飯"

「学校は面白い?
学校に行くのも帰ってくるのも面白いけど…その○がどうも気にいらない」

「君のうちのお父ちゃんと僕のうちのお父ちゃんとどっちが偉いと思ふ?」

「お父ちゃん、早く○○をしに行った方がいいよ」

偉くなるってどういうことなんだろう。
昔はよく使われた言葉だが、立派になるとどう違うのだろうか。
考えて見て下さい。
(例えば、庶民がへいこらして先生と呼ぶ国会議員の皆様は偉いんでしょうか?立派なんでしょうか?)
なお、「新音声版」は今を意識し過ぎて余計な音響が入っているような気がする。音声が多い方が見やすいと思う人が多いのかも知れない…。
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