B姐さん

生れてはみたけれどのB姐さんのネタバレレビュー・内容・結末

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「活弁士のいるサイレント映画は、本当の"サイレント"ではない」みたいなことを誰かが言っていて、その影響で今まで劇場鑑賞のいいタイミングが持てなかった。劇場では活弁士がもれなくついていたので。
チャップリン、キートンやラングなどのサイレントは観た事あったが、それは全部音楽つき。完全な「無音状態」では初鑑賞。

ということで、1回目は10分あたりから、無音環境にムズムズし、違和感を感じ始め、30分後爆睡。そして2回目でようやくなれた。

後の小津映画『お早よう』などで出てくる、実&勇の兄弟コンビの原型が出てくるのだが、そりゃかわいいんだけど、しっくりこない。『お早よう』の兄弟コンビが完璧すぎるのか、それとも原型ゆえの宿命だからなのか。父親との佇まいも、どっちが浮いているのかわからないが、イマイチ親子に見えない。

だけど、小津の描く子供の視点や世界は楽しい。
訳の分からないコドモ・カルチャーはこの映画でも健在。
戦前の蒲田が電柱と線路しかない"荒野"みたいな所なので、悪ガキグループの大将(この子役の顔がいい。日活のスターみたい)とのケンカシーンや、家の白い柵の外で悪ガキグループが並んでいるショットなど、もう"西部劇”みたいだ。
ヒエラルキーは腕っぷしやユーモアなどで引っくり返すことが出来る、と当たり前に思っている兄弟が、「大人の社会」に生きている父を許し、理解する。きっかけがよくわからなかったが、それでもすごく感動的なのだ。

DVD(8/25/2014)
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