shibamike

生れてはみたけれどのshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

柴三毛「そういう話なのかぁー!」

と、後半驚いた。まさしくタイトルにある通り「大人の見る絵本」。
序盤のワルガキ達の頭悪い行動の数々も微笑ましかった。

自分にも幼い頃、自分の父親が偉いとかどうかを気にした時期があったかも知れない(もはや忘れた)。
子ども達の世界と実際の世界では家庭のパワーバランスが異なる、といういかんともしがたい話を真正面から描いていた。
「お父さんはどうして太郎ちゃんのお父さんにペコペコするんだ!」
お兄ちゃん必死の疑問に父親は言葉での説明ではなく、お尻ペンペンで回答する。

子ども達が寝静まった後に父と母がしみじみ話す。
「こういった問題はあの子達にだって一生ついて回る話なんだ…」
安直に言葉で説明できるような話でもないからこそ、父は不本意ながらお尻ペンペンを選んだ。
泣き腫らした子ども達の寝顔を見つめ、「俺のようなヤクザな会社員になってくれるなよ…」と苦笑いする父親に涙。
それにしても、会社での父親のお調子者キャラ(しかもギャグが変顔の一本調子)を見るのは確かに子どもとしてはキツイ(笑)。

親子喧嘩終息の流れも素晴らしかった。「空腹」で一気に仲直り。心のやり取りは理屈じゃないんだなぁ、としみじみ。リアリティあると思った。

子ども達はまっさらな心で産まれ、成長するに連れて、世の中の色々のっぴきならないことに遭遇し、美しいものも醜いものも何もかも飲み込む必要に迫られる。そういった人間の最初の頃を忘れた大人がこの映画を見たら、色々ハッとさせられると思いました。
そして実際、幼少期に家庭がこの映画のような状況だった人にはたまらない内容なのではないでせうか。

「けれど」という言葉は普段あまり使わないように注意しているが、この作品のタイトルでの「けれど」には感じ入る。生まれてはみたけれど、色々大変である。

オジー・オズボーン、やっぱり凄い。
shibamike

shibamike