ゲロ

ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~のゲロのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

監督が岩井俊二に似ていて外国調に見える顔だが、両親を見たらそうでもないことがわかる。しかし、両親のいいとこ取りの顔立ちで、映画もそんな感じだった。
お母さんが「死にたい」と言った時、お父さんは「感謝しなさい」と言った。それでも死にたいと喚く母さんに「じゃあ死ね」と父さんが言っていたのが面白かった。
お母さんの「死にたい」はメンヘラが嘯くような死にたいと一緒で、実際はそれから後のほうがずっとつらいのである。遠い未来のことを準備するための映画ではなく、今を生きるための最先端を捉えていた。
それにしても、お母さんのつらいからやめたい気持ちは、周りの生きてほしいという意思が働くあまり、死ねば敗北と見なされるのはどうかな?と思った。胃瘻があったが、それでも生きている強さを実感するのはいいけど、認知症になったらもうこれでおしまいにしましょうか、という判断材料が少なくなるのではないか?と思った。ここに出てくる登場人物がみんな魅力的なのはわかる。だから生きてほしいのはわかるけど、心の拠り所を他の、例えば思念だとかに移せたりしなかったのかな?と思うし、だからこの映画を撮ったのかもしれない。
このお父さんは私のお祖父ちゃんに似ている。耳が遠いところ、それに伴い声がメリメリと雷鳴じみてるところ。しかしこのお父さんほど献身的ではない。いつも他人まかせである。子どもが世話しなかったら、お祖母ちゃんが生きてたら、ここまで成し遂げただろうか?
コロナをきっかけに志が途切れたのは違いないのに、コロナを恨まない作り方がすごいな、と思った。
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