natsu

ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~のnatsuのレビュー・感想・評価

4.1
映画館に続編のフライヤーが置いてあって、えっ!?やるの?ってなって。日にちも書いてなかったからいつ上映なんだろ?と思ってたら、始まってた!慌てて見に行った。

私、本編を見たのは2019年だったみたい。自分のレビューを見て知る。
見てすぐに、これは2019年今年のマイベストだと思った。
世の中の人みーんな見てほしい。介護とはどういうものか、老いるとはどういうことか、そして自分の老後にも思いを馳せてほしい!そう思った映画だった。

さて続編はというと…。
半分くらいは前作のダイジェストみたいだった。いろいろ思い出しながら復習。
そして、途中から20年くらい前のお母さまが登場。すごく聡明で明るくておしゃれに気遣っている母がなじみの商店街で買い物する様子が映されている。偶然撮っていた映像だったそう。一転その後の映像からは、人は歳をとるんだな、ということをひしひしと感じさせられる。とくに80→85歳くらい?この数年の間に母はどんどん弱っていくのがわかる。

対して、父はというと…。すごい。あいかわらずすごすぎる父。90歳過ぎてやる気に満ちあふれて料理やら家事を覚えて、100歳を目の前に毎日1時間歩いて見舞いに行ったり、倒れた後も筋トレをこなしたり、こんなに元気な老人はほぼいない。正直、特殊だと思う。ただ、やっぱり前作より体力は落ちてるのかな。
前作のレビューで、「せめて歩行器使わせてあげて〜」と書いていた私だけど、今作でちゃんとがっちりした歩行器使われていてホッとしたわ笑。辛くなったら座れるやつね。

そう、あの頃、わたしは、在宅高齢者のケアマネをしていた(訳あって今はしてない)。似たような担当さんをたくさん抱えてた。なおかつ、義親の病気にも付き合っていた。だからね、よくわかる。今の時代は長生き時代だから、80代90代の元気な高齢者は結構いるけれど、どんなにピンピンと思っていても、やはり90後半にもなると急〜に脚が悪くなったり、急に倒れたりするんです!それも悪くなり始めるとすごい速度で!!だから、ほんとこのお父さん、すごいんですって。

そして、お母さん。あんなしあわせな最期を迎えられる人、そうはいません。
まず、コロナ禍なのに、面会ができたこと。(地方ゆえのありがたさかな)
あと、療養施設への転院時に数分でも家に帰ってこられたなんて…。しっかり計画して、病院やらヘルパーさんやらの助けを借りないとまずできない。娘と父が望んでがんばった結果だと思う。
そして、胃ろうも…。正直わたしは勧めないけれど、父と娘の2人にとっては「どんな形でも母さんが生きている、存在している」ということが、希望であり、日常であらねばならなかったのだろうと思う。辛いのは弱っているのに胃ろう生活のお母さんで、そうしてまで家族のエゴを通したことは、良いことだったのかはわからない(と娘も言っていた)。でも、映像を見ていると、2人がそうしたい気持ちは手に取るようにわかるのだ。
あのね、お母さんは、とっても幸せだったと思う。大事にされ、必要とされていたのがよーくわかるんだもの。世の中の老夫婦、みんながみんなそうではないもの!

夫婦、とても素敵だった。最後までお互いを尊重して愛していたのがわかる。
耳が聞こえなくてお互いの話が通じなくても、片方が認知症になって投げやりな気持ちで泣きながら過ごしていても、のほほんと受け入れている世界。こんな生活でもやっていけちゃうんだ。父の性格も大きいけど、長く連れ添った2人の間にあるものを感じる。

わたしは、前回の映画を観るたぶん半年くらい前に、病気でダンナを亡くした。その映画を観たときは、少し浮上していたのかもしれない。読み返したらそんなレビューを書いていた。
とにもかくにも最後まで見届けてくれる人がいるということが羨ましくてたまらなくなる。(そう思うと、今もパートナーほしいなあって思ったりする。でも若者じゃないから勢いだけでは結婚できないし、なかなか夫以上に思える人は出てこないものなのです笑。現れてほしいけど笑笑。)
人生を最後まで伴走できる人がいるということは、本当に本当に幸せだと思うのです。


さいごに。気になったこと。
監督である娘さんは、たぶん親が元気な時は東京で仕事一筋だったんだろうなーというのが読み取れる。
呉の家の洗濯機が未だに2層式だったことにも驚いたけど、黒電話だったことに更に驚いた。うちの実家も恐ろしいほど旧式な家だけどさすがに替えてある。娘さんは遠くに住んでいるのも相まって、親が老いるまでは実家には無頓着だったんだろうな、って思わされる。気にする暇もなかったんじゃないのかな?(父が、東京で好きな仕事ができるなら、できるうちはがんばりなさい、という人だったせいもあるだろうなー)現在は、東京にも行くのだろうけど、呉では父娘の2人暮らしをしているのかなあ?あの二層式の家で。知りたい。話したい。
あとお父さん。お母さんという張り合いがなくなってしまって大丈夫なのだろうか。。続くコロナ禍で新しい張り合いを見つけられているのだろうか。。
変わらずハンバーグ一人前をペロリと食べれていれば大丈夫だと思うけど(年寄りがたくさん食べれるってのはホント重要!)父には元気でいてほしい。まるでどこかの俳優さんみたいに若々しいんだよなあー、ってお世辞でなく思います。

わたしは、スコアにあるように、この続編よりも前回の本編のほうが好きです。好きというか、見てほしい知ってほしい内容が盛りだくさんだから。だから、これを見た人は絶対本編も見てほしい。見てくださーい。よろしくおねがいしますー
natsu

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