『ぼけますから、よろしくお願いします』のその後です。老老介護、看取り、家族の絆、庭のアジサイ。涙なしには観れませんでした。続編も大変素晴らしかった。
延命治療が当人にとって幸福なのかどうか。他人には容易に決められないことだと思いました。
家族全員にとっては別れるための心の準備期間も必要で、それは当人にとっても同じなのではないか。その時間が家族にとってはお見舞いや看病であり、当人にとっては闘病であったりするのではないか。
監督のお母さん、88歳のお姿から比べると80歳の頃は驚くほどお元気です。還暦すぎてリタイアしたら「高齢者」「老人」とひとくくりにしがちですが、20代と30代が違うように、まるで全然違います。鷲田清一『老いの空白』に老いにも段階があると書いてあったのを思い出します。
人はゆっくり老いて、最後にこの世を去って行くのだと、改めてしみじみ感じます。当たり前にできていたことが、少しずつできなくなってゆく。その分だけ自他の境界も緩やかになる。それもまた、この世を去る準備なのかもしれません。
大変な時でもカメラを回して、貴重な記録を残して、公開して下さって、信友直子監督には感謝の気持ちでいっぱいです。信友家の皆さまどうぞお健やかに。