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グリッドマン ユニバースのhoshのレビュー・感想・評価

グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)
3.9
SSSS.GRIDMANとSSSS.DYNAZENONのコラボ作品。TRIGGER制作。

胸焼けしそうなほどの思春期。まっすぐで真っ当な青春映画の大傑作だと思う。

生っぽい発声、登場人物の会話の切り替えし、視線が交わるか交わらないかで生み出されるサスペンス・恋愛描写、間合いによる笑いといったテレビシリーズの美点である実写的(山下敦弘、山田尚子を思わせる)かつキレのある日常描写がたっぷり詰まっていて最高だった。ここ数年の中でいちばん映画館で悶絶したかもしれない。

上述した美点が最も生きているのが響と六花のコンビニの帰り道のセリフ回しと公園でやり取りの場面。帰り道での場面は予告編での「私たちまだ16歳だし~」以降の言葉のチョイスのときめき具合!!!!に痺れた。この絶妙さは筆舌に尽くし難いので見返したい。演技もね!やばいのよ。

公園の場面はブランコという不安定な遊具と若者の揺れる想いがシンクロする演出になっている。月の光、遊具のチョイス、ぎょっとするほど色っぽい六花の正面からのショット、それを直視できない裕太。と、画面の全てが揺れる思春期の心情を示すのに完璧に機能しており、往年の青春映画のクラシックを見てるかのような気分だった。なんてことない日常の場面にドラマを見出し、永遠のように美しく画面に収めるという青春映画で1番重要な部分を完璧にやってのけている。

他にもあの人とあの人の再会の場面のカーテンの使い方の上手さとか、あの人の去り際の指の動きがEDのアレ!とか語りたいことが沢山あるんですが、これくらいで。

とにかく演出(エモはあるけど強調はしない品の良さが抜群!)と脚本(テレビシリーズの接続と創作論、虚構への眼差しを全部込めて破綻していない)が冴えに冴えているし、上述したように思春期描写はここ数年の日本映画の中でも指折りだと思うので、オタク映画として収められてしまうにはあまりにもったいない傑作かなと。というより、一つ一つの要素にしっかり意味と背骨があるからこそ、単なるファンサ映画に終始してないんですよね。1本の映画として存在感がある。もう少し多くの人に見られて欲しいなど切に思う。

リアルタイムで見てきたSFモノのアニメの中では人生ベストなシリーズかなと!雨宮哲監督、次回作は是非学園ラブコメもので頼みます…!「これが僕らのユニバース!」
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