虎舞羅ーコブラー

HiGH&LOW THE WORST Xの虎舞羅ーコブラーのレビュー・感想・評価

HiGH&LOW THE WORST X(2022年製作の映画)
5.0
「ぶつかり合う拳と魂、そのすべてが今、X(クロス)する。」

どうも、大学入試も終わって気が抜けそうな虎舞羅です。これまた久々の投稿となりましたが、これからもよろしくお願いします。

「HIGH&LOW 」シリーズは、私にとって全ての原点と言っても過言ではない特別なシリーズです。「HIGH&LOW THE MOVIE」を映画館で観てから今日まで三代目J Soul Brothersの大ファンになりました。そしてこの作品を通してアクション映画好きになり、多大な影響を受け高校から人生初の空手道を始め3年後には黒帯取得…、という私の人生のページを確実に彩ってくれている特別な作品なのです。
そして本作は、同級生3人との思い出作りとして私が提案し鑑賞した作品です。3人はみんな過去作を未鑑賞だったため、大まかなTHE WORSTのストーリーを伝えていざ本編が始まると、3人とも釘付けになっていましたね。終わったあとは質問攻めで、「過去作も観たい!」と口を揃えて言ってくれたので、提案者としては嬉しいかぎりでした。これを通して更に私達の友情が深まった気がします。

と、ここまで自分語りが過ぎたようなので、ここから本作の魅力を私なりにまとめてみようと思います。

本作は大人気バトルアクション「HIGH&LOW」シリーズと不良マンガの金字塔「クローズ」「WORST」の奇跡のコラボレーションが果たされた「HIGH&LOW THE WORST」シリーズの劇場版作品第二弾となっています。
本作の魅力は、何と言ってもこれまでより洗練され、よりハードになったアクションシーン。
これまでのシリーズでアクション監督を務めていたのは、「SP」シリーズでもアクション監督と務めてきた大内貴仁監督。そして本作では大内監督は“アクション監修”として携わっており、アクションシーンの展開やカメラワークを全て指揮するのは鈴村正樹監督。なんとこの鈴木正樹監督、あの『銀魂』の沖田総悟役などで知られる声優、鈴村健一さんの実の弟さんだそうです。これはかなり驚きましたね〜、『空の境界』の黒桐幹也役などで好きだったので、まさか弟さんはアクション業界に進んでいたとは…と。
このお二人の創り出すアクションの違いを私なりに比較すると、大内監督のアクションは“大人の喧嘩でも、学生の喧嘩でも手加減あり。ただボコボコにするのではなく、伝統的な武の美学あり。”といった感じで、格闘シーンではシンプルでかつ大胆に伝統的なスタイルの格闘戦が繰り広げられている印象があります。しかし鈴村正樹監督のアクションは、“蝶のように舞い、蜂のように刺す。確実に相手をノックアウトさせる、加減をあえてしないアクション”の印象が強いですね。
冒頭の敵側である瀬ノ門、江罵羅、鎌坂の三校連合によるアクションシーンでは、手加減を知らぬ、一歩間違えば肋骨骨折するくらいの蹴りや戦法(一人は確実に折られてましたが…)、またゲバ棒(木や鉄パイプとか)など武器を持ち込むダーティさが特徴的で、三校連合の戦闘スタイルは一貫して激しいアウトロースタイルでしたね。鬼邪高校の生徒をリンチするところなんか、格闘技経験者からするとリアルなら死んでるレベルのリンチ具合なので、そこが大きく過去作と一線を画す部分ではないでしょうか。
アクションシーンが特に多い本作ですが、その中でも最後の主人公である鬼邪高校の頭、花岡楓士雄(THE RAMPAGEの川村壱馬さん)と瀬ノ門工業高校の須崎亮(NCT127の中本悠太さん)のタイマンシーンは、格闘戦のハードさによる“緊張感”とそれぞれの譲れない仲間への“思い”がぶつかり合う、過去最高にエモーショナルでドラマチックなタイマンシーンになっていたと思います。

演技の面でも、誰一人浮く事もなくみんなハマっていたと思います。LDHのパフォーマーも多い中、あの伝説の鈴蘭男子高校のラオウを演じた三上ヘンリー大智さんは、本職がプロのキックボクサーということもあり雰囲気から圧倒的な“強さ”が出ていましたね。もうアクションシーンの動きがダントツでレベル違いすぎて…。(笑)そしてラオウこそ漢の中の漢だという…鈴蘭好きには堪らない描かれ方をしてましたね。

あと、ハイローシリーズで忘れてはならないのはLDHアーティストたちによる、映画本編の興奮・感動を盛り上げてくれる挿入歌の数々。
個人的には三校連合のテーマ曲、MA55IVE THE RANPAGEの「RIDE or DIE」が好きでしたね。冒頭を彩る攻撃的なサウンドとビートが、映画館の音響で聞くとより一層三校連合の狂気を引き立てているように感じます。
また本作でおそらく一番輝く曲、NCT127の中本悠太さん、BE:FIRSTの三山凌輝さん、THE RANPAGEの川村壱馬さん、吉野北斗さん4人による「Wings」。このような異なるアーティストによる豪華すぎるコラボは、これから先もLDHではかなり貴重なのではないでしょうか。内容も友情と青春を寄り添うように優しく力強く歌い上げる楽曲となっており、楽曲のフル配信が個人的に楽しみになっているこの頃です。
「僕の翼で 空高く飛べるように」
「共に歩もう かけがえのない友よ」
この歌詞が本当に胸に沁みますね…。これこそがハイローシリーズで変わらずに描かれているテーマを象徴しているのではと、私は感じました。

本作では様々な意味で洗練され、無駄を削ぎ落としながらもシリーズや『クローズ』でも一貫として描かれている“友情”を再提示した、これまでの邦画不良アクション作品の最高傑作へと君臨した作品だと個人的には思っています。
是非ぜひ、ご鑑賞ください!


・余談
まさか『クローズZERO』シリーズのあの方が登場するなんて…。X(クロス)の名の通り、鈴蘭でも鳳仙でも原作マンガや映画の要素を感じさせていたのは胸熱でしたね…!!
ハイロー史上初のPG12のレーティングを喰らっうとしても描いてくれた、高校生の喫煙描写。やっぱりあれが無きゃ『クローズ』じゃないでしょ!と小さい頃から親に隠れて『クローズZERO Ⅱ』のDVDを観ていた(良い子はマネしちゃ駄目です笑)私の期待に応えてくれていたのは良かったですね〜。
影響受けてグレなかったのが奇跡だなあ〜(すっとぼけ)