moon

サバカン SABAKANのmoonのレビュー・感想・評価

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)
4.3
「またねーー!」

『またね〜!!』

この言葉に こんなにも 胸が揺さぶられるなんて!!!

さよならじゃない、「また 会おうね!」「また よろしくね」「また 遊ぼうね」「また 行こうね!」「また 来てね!」「また 一緒に…ねー!」

色んな意味が含まれてる「またねー‼」

その言葉には「未来」と「希望」がある。

少年の時のひと夏の 熱くて、楽しくて、ちょっと辛くて、ちょっと切なくて だけどスゴく スゴく大切な時間を 共に過ごした 少年たちの 別れ際の言葉...

「またねー!」
「またね〜!」

に グッときた。
相手への親しみと「再会」を願う…友情が芽生えた瞬間…


凄く好きな映画だ。

「スタンド・バイ・ミー」をちょっと思い出す…全然違うけど…

夏休みの少年達の「大冒険」が、なんかキュンキュン(笑)する。二人と一緒に冒険したような気になった。


今は売れない小説家である久田が、ふと「サバ缶」を見て 遥か昔の夏休み前後と友との思い出を遡った…

草彅剛さんがいい。性格は良さそうなのに、売れない…故に娘とも別れ別れになってしまったのか…
飄々としながら、いつかは「食える」小説家になるぞ…という意地も心に忍ばせた 久田を自然体で魅せていた。

パンフルートの劇伴が郷愁を掻き立てて、過去を振り返る久田の回想(ナレーション)と共に非常に心地よかった。

子役二人の演技が初々しくて自然体でホッコリする。二人とも笑顔が 可愛い!

そして、周りの大人達が 凄く魅力的!

先ず 担任の先生!生徒が引くくらい 感激屋で大袈裟(笑)に褒める!!それも心から! 拠って 生徒に自己肯定感を植え付ける。素敵な教師だ!

そして、何より 久ちゃんの両親‼️

尾野真千子さんが演じる「肝っ玉母さん」は 凄く良い!ちょっと怖いけど、愛に満ち溢れてる!頼れる母さん、ハマり役!

そして、そして お父さん!
めちゃくちゃ素敵!竹原ピストルさんをキャスティングしたのは大正解⭕️
尾野真千子さんともベストマッチング!!
風采の上がらない?夫風でありながら、息子からの尊敬(自転車直すの上手い)も ちゃんと受けられる 素敵な親父を 本当に魅力的に演じてた!

「小さい」けれども、「大きな経験」になる事をちゃんと解って 二人の子供の「冒険への旅立ち」に小遣いを渡し、荷台に座布団を付け、
「漕げ〜!漕げ〜!!」と嬉しそうに応援する姿に 感動した。

そして、蜜柑畑の内田の爺さんねー!
彼も 盗っ人の竹本の名前もちゃんと知ってるくらい ホントは彼の事を心配してたんだよねー…
駅でのシーン…ウルっと来た。

それから、久田少年にとっては 一目惚れ?だったかも…の年上の高校生のおねえさん(茅島みずきさんピッタリ)がミステリアスだけど、凄く優しい。その彼女が連れてきた相手は 少年達を助けてくれた強い大人の男。二人の関係は兄妹?恋人?と 探る 久ちゃんが可愛い。
その男が竹ちゃんに帽子を被せ「負けるなよ!」って…なんだか、急に込み上げて来た💦

色んな苦い思いや人との出会いを分かちあった冒険の後の
「またねー‼️」の響き

沁みた😂泣けた。

竹ちゃんが久田に振舞った「サバ缶寿司」
あんなに大勢の兄弟達と食べたなら、ちょっとしか食べられなかっただろうけど…
美味しかっただろうな☺️

そこで竹ちゃんが
「俺は寿司屋になる」「久田は文章書く人になれ」と。いいねぇー、イイ。

竹ちゃんのお母さん、とっても子供思いで頑張り屋で 明るい素敵な人。だけど、ちょっと…おっちょこちょい?な部分(久田に 息子が言ってた事を話しちゃダメだよ😓)が有る母親役、貫地谷しおりさんピッタリだった。(もう 母親役似合う歳なんだね…)



[この先ネタバレ]








アレが原因で…悲劇が…!(T_T)
久田も 竹本も 誰も それは知らない。
映画観てる私達だけが知ってる事情。それが なんとも切ない…でも、知らなくていい…悲し過ぎるから。
でも、事故原因、アレじゃなくてもよかったんじゃない?そこだけが モヤモヤしてる。二人の別れの理由が違ってたら、☆5付けたいくらい素敵な映画だった!のに。💦


この映画で しみじみ感じたのは
男の子にとっては 父親との関係は凄く重要なんじゃないかな…ということ。

久田と父親とは 男のロマンを共有し、父は頼もしい存在で、妻に尻ひかれる夫の姿も その反面、大黒柱的な存在感も、久田のお手本になっているのではないだろうか…。

竹本の父親は漁師で、貧しい中でサバ缶で寿司を作って子供たちに食べさせていた…きっと 頼もしくヒーローだったのだろう。竹本が貧しくても クラスで馬鹿にされても 腐らず、堂々としていたのは 父親の存在が大きかったのでは?

そんな事を思った。



竹ちゃんが 引っ越してしまう!!会えなくなってしまう!!駅に向かう久田。その息子を見送るお父さん!


夏休み後 ギクシャクしてた久田の態度。
母親の死。離れ離れの妹弟達。久田とは言葉も交わさずに生まれ故郷を離れる竹ちゃんにとって 不意に現れ サバ缶を渡され


「友達だよ」と久田からの一言…

どんなに嬉しかっただろう!!!

走り出す電車から
初めて竹ちゃんが「久ちゃん」と。
呼んでくれた…❣️
「またねー!」「またね〜!」二人の友情は揺るぎないものになった…‼️

迎えに来て「母ちゃんには涙見せるな」と父ちゃん。お母さんに迎えられて大泣きする久ちゃん…良い家族だなぁ…😂


友達って 一緒に過ごした時間の長さじゃないよね。 何かって言われると その答えは難しい。
でも、魂が繋がる感じ…得られるか…なのかな…

「竹ちゃんとは 今でも 友達だ」





竹ちゃん兄弟のその後も描かれていてホッコリした。
久田の娘と元妻との明るい未来も…!

エンディングテーマ曲も挿入歌も パンフルートの調べも 本当に良かった❣️

清々しい感動をありがとう😊
moon

moon