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サバカン SABAKANのringoのレビュー・感想・評価

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)
4.3
ひさちゃんとたけちゃん。
相手の事情や感情を想像できて、お互いの父親のことを「かっこいいお父ちゃんやね」と言い合えて、優しくてたくましい。二人がそんな“良い子”に育ったのは、きっと良い家族がいたからだ。

そんな家族のもとを離れて初めて一人で行動する。そんな子どもから大人への成長過程を描く映画、割と好きかも。『子供はわかってあげない』も良かったんだ。

家族のもとを離れても、ピンチの時は歳上のお兄さんやお姉さんに助けてもらったり、悪いことをしたらおじちゃんに追いかけられてお仕置きされたり。こんなあったかい優しい世界で生きてほしいな、子どもには。ほんの少しのことが冒険だった子ども時代、キラキラしていて羨ましくもある。

たけちゃんはきっと大丈夫。
やっと見つけた素敵な友だちから袋いっぱいのサバ缶と友情を、天敵のおじちゃんから袋いっぱいの甘いやつばっかりだったみかんを渡されて。

またね!

また会いたい、また会えるだろう、と思うからこそ出る言葉、とっても幸せな言葉。

そして、家族のいないところで初めて経験する友だちとのお別れ。どうしようもない悲しさ、寂しさ。そんな時なぜかいつだってそばに来てくれるのは親だ。親に抱きしめられてちょっとだけ子どもに戻って、そしてまた大人になって旅立っていくんだろうな。
なんかこのあたりすごい泣けた。経験する内容は違えど、『君の名前で僕を呼んで』とか『レディバード』とかも同じだった。

最後、良い歳のおじさんが、ひさちゃん、たけちゃんと呼び合っていて本当に良かった。きっとこのあと一緒にサバカンずしを食べて、「またね!」と言って別れるんだろう。
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