とむ

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのとむのレビュー・感想・評価

3.6
同監督作の「スイスアーミーマン」を観に行った当時「なんか、変な映画だったな…」「なんか、思ってたのと違ったな…」と思いながら劇場を後にして、それから暫く心の中で反芻していくうちにどんどん好きになっていったんですよね。
今作を観て、その感覚を思い出しました。

お察しの通り、公開初日のレビューなので上記の様に気持ちが移ろっていくかはわからないのですが、ともかく現時点で言えるのは「変な映画だったなぁ…」ってコト。


予告編を見て「ははーん、平凡な主婦が突然マルチバースな世界の構造を利用出来る様になって、何やかんやあって世界は救われた!系の話ね」と思ってたんだけど、
いや、概ねその通りのストーリーテリングではあるんだけど…とにかくそのストーリーテリングが変なんだよな!

単純な家族愛、親子愛とも違う…
でも、指がソーセージの世界とかいう出オチ感極まりないアホな世界でも実はちゃんと多様性について描いたりしてて、
親子愛っていうのも必ずしも美しいものではないけどそれでもその存在が欠かせないものになってたり

いやもう、兎に角よくわからんのよ!
そのよくわからんっていうのもアートの類を理解できないのに近い感覚に近いかも…いや違うのか…?
ララランドのラストシークエンスの馬鹿馬鹿しいverを2時間見せられるみたいな…?


でもその実、実はめちゃくちゃ私小説的な話でもあるなと思いました。
個人的にはスイスアーミーマンの冒頭よろしく、振り落とされない様に必死でしがみついて振り回されてる感じ含めて楽しめたかな。

思えば、以前アカデミー賞を受賞したポン・ジュノ監督も「変な映画を撮る人」という称号を某・映画評論家 a.k.a ラッパーの人に言われてたけど、ダニエルズ兄弟はまさに「変な映画を撮る人」に違いないと思いました。

よくわからんもん見せられて、怒る人もいるかもな…ってな内容ではあるんですけど、
僕は引き続き追っていきたいな〜って監督の一人(二人?)になりましたね。


でもこの監督、確かCMとかMVとかの畑の人なんですよね。
こういうビジュアル全振りで、尚且つぶっ飛んでてヤベェみたいな映画、邦画でも中島哲也とは別ベクトルで実現できたら最高だよなぁ。と思ってみたり。

あと犬ちゃんの扱いでクソ笑った。
とむ

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