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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのsymaxのレビュー・感想・評価

3.6
"エヴリン…僕は君の夫じゃないんだ…別のユニバースから来た《僕》だ…君だけが止められるんだ…"

アルファバースという別宇宙から来たと言う夫ウェイモンド…エヴリンに装着された怪しげな装置…今はそんな訳の分からない話を聞いている場合ではないのだ…破産寸前のコンインランドリー店の税金を支払わなければ…ここは国税局…でも気になる…アルファ・ウェイモンドの指示に従い、靴を左右あべこべに履き替えるエヴリン、そして忘れてはいけない深呼吸…装置のボタンを押すと…

一歩間違うと収拾がつかなくなってしまう世界観をよくもまぁ破綻させずに一気にラストまで魅せる作品に仕上げたなと脚本と構成の素晴らしさに感嘆させられます。

マルチバースの世界に次々とジャンプさせる展開の為、集中して鑑賞しないとあっという前に置いてけぼりを喰らってしまうリスクが常にありながらも、スクリーン上にあるのは、緻密に計算された"カオス"…過去名作と言われる作品のオマージュが其処彼処に見受けられ、ミシェル・ヨーとキー・ホイ・クァンのキレキレカンフー…ジェイミー・リー・カーティスの怪演と見所満載…

マルチバースという壮大なスケールの世界観を背景にしながらもストーリーの核心は"家族"というミニマムな世界。

お下劣でぶっ飛んだシーンの連続で呆気に取られるヘンテコな映画なのに、最後は優しさに包まれほっこりさせるという…これだけ凝った作品だと万人に受けるという事は難しいので、ミニシアター系での公開となりそうなところ、まさかのアカデミー賞最有力候補…公開規模も大々的になっています。

私的には、ド派手な衣装で現れるエヴリンの娘ジョイを演じたステファニー・スーが段々渡辺直美に見えてきまして…
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