ダイナ

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

マルチバースな世界観でカンフー大暴れ!スイスアーミーマンのダニエルズ監督だ〜と思わされる奇想天外なアイデアと下品なユーモアが懐かしかったです。なんといっても世界観の求心力の凄さ。「あの時ああしていたらどうなっていただろう?」の答えを知るワクワクさといった良い面だけでなく、IFの自分と現在の自分を比べてしまう後悔、そして全てを体験することによる絶望感(こういうのって虚無感(ニヒリズム)っていうらしいですね)という日陰な部分も描かれていて良かったです。壮大な世界観ながら巨悪を打ち砕くというよりは家族の在り方を見つめ直す作品でした。魔王・極悪犯罪者を倒すなんてもんでなく、人生の細々したほつれを解決しようと奮闘している姿が映されていたような。確定申告というクソ面倒臭い身近で普遍なワークも背景作りに一役買っていて良かったです。

別宇宙の力を使うには条件がキャラ全員に課せられている部分がうえきの法則っぽくて好きな設定でした。本作においては突飛な行動をするということでタイミングによって変わるみたいですが面白かったです。そして多元宇宙のよそではあまりみない発想、ソーセージ宇宙・人形宇宙・石宇宙等の変化球的世界が良かったです。ただサブリミナルレベルで刹那に映される別宇宙ののエヴリン(パンフレットに見開きで載ってて良かった)を本筋のピンチの切り抜け時に見たかったなあというもどかしさがありました。そしてシェフ・ピザ屋等だいたいカンフーアクション発揮になる点、覚醒でグッと心捕まれるものの映像的な変わり映えはバトルシーンでは一本筋感が。もっと色んなエヴリン見たいよ!
ダイナ

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