椎良

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの椎良のレビュー・感想・評価

4.6
選ばされたんじゃない、選んだ運命を

〈コインランドリーを経営する主婦エヴリンは、ギスギスした家族に半ばうんざり。彼女は確定申告へ行くやいなや、マルチバースの危機に立ち向かえと突如夫から告げられるが…?
繰り返す"バースジャンプ"とまさかの黒幕、一体何がどうなってる!?〉

多種多様に使える死体を描いた怪作『スイス・アーミー・マン』で衝撃、いや笑撃を映画界に与えたダニエル兄弟とA24が再タッグ。さらにMCUでお馴染みルッソ兄弟が製作を担当した本作は2023年度アカデミー賞を7部門において受賞、多くの賞賛を浴びている。
主演はミシェル・ヨー、俳優業に復帰した元子役のキー・ホイ・クァンが出演。

目まぐるしく交差する世界で、やりたい放題のファイティング。時空をかける少女に狙われるアクションスリラー要素も大きいが、変な事をしないと能力が使えないという制約のせいで絵面が滅茶苦茶に。劇中の他バースも半分くらいまともじゃない。その度の超え方に、一体なにを見せられているんだ…と困惑しながらも、あまりに正面殴りな人間ドラマが泣けた
同時並行するいくつもの物語が繋がってエヴリンの武器となる展開が熱い、敵をまさかの方法で無力化するのが好き。そしておもちゃ箱のようなカオスを経て、なんて綺麗に物語を畳んでいるんだ…と感激。その一方 お下劣満載の馬鹿馬鹿しさも健在、まあ賛否両論を呼ぶ訳だ。

英語でも中国語でも字幕に変化はないのが少し残念。結構その区別に意味がありそうなんだが分かりにくい
展開の乱高下、流れ込む圧倒的情報量に耐える体力・気力が必要。案の定好みは分かれてる様なので、アカデミー賞候補作を観に行くというよりはダニエルズの新作を観に行くという心持ちの方が良いかもね、、

まさにこういう映画を求めていた。ダニエルズは想像以上の天才かもしれない
椎良

椎良