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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのrillのレビュー・感想・評価

1.0
先進的との評判だったが、表面的にいろんな属性を扱っているというだけで本質的には古臭くて暴力的な映画です。良い話のフリをしてるからタチが悪い。

全年齢なのに下ネタが酷すぎる。
サイテーに下品なギャグがあってもいいけど、分別のついた大人だけで楽しむもの、これを家族モノとして謳い、注釈やレイティングなしでやるのは騙し討ちの性暴力だ。
こういうことを「クィア」と持て囃して意識高ぶる風潮に反吐が出る。
どこが新しいんですか?
性的搾取や差別をする大義が、昭和は伝統、平成はサブカル、令和はレインボーに移り変わっただけでしょう。
まともに説明できないようなことを「クィア」や「性の多様性」と言い換えれば正当化できると思うなよ。
スカートめくりや風呂覗き表現がやりにくくなってきた代わりに、SMプレイや性玩具を児童にも見せつけるという倒錯のどこが先進的だ。退化してるだろ。

「everything everywhere、誰でも概念で自由に越境できる、秩序が無いカオス。」
それは本当に弱者に優しい世界なのだろうか。
強いものはさらに傍若無人に侵略し、弱いものは強者の温情にあやかる為の生存戦略を「自由意志の選択」として自己責任にされる。
格差はますます開き、なんの歯止めも救済もない、冷酷な弱肉強食の世界だ。

だから、エブリンの境遇は変わらず、自己解釈や振る舞いのみを変えるようになる。

様々に活躍する人生の選択肢を封印
最低な境遇でも捉え方をポジティブに
イライラしてはいけない、周りに優しくしろ
自分の名前を否定し、母親であると宣言

女性の人生や選択肢、考え方にどこまでもしがらみが染み付き、一人の独立した人間としての発想がなく、名前まで失うことを肯定する。

アイデンティティを失った母は、娘にも呪いをかけるようになる。容姿を最後まで罵倒しながら、それでも家族として執着する。
どれも旧態依然の規範に縛られた価値観のままなのに、無理やり解釈を歪めて美化している。

愛の名のもとの支配や搾取、
優しさと称した許容やケアの押し付け
よくあるグルーミングの手口だ。

どれだけ風呂敷を広げてみても、規範に囚われ、生活は変わらない。気の持ちようとコミュニケーションでうまく立ち回り、異世界に現実逃避してはガス抜きするだけの茶番。

"現実の私は最低だけど、どこかの世界では輝いているんだ"
そんな洗脳でもかけないと現実をやってられないのは惨めすぎる。
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