曇天

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの曇天のレビュー・感想・評価

4.5
自分の中で一番しっくりきた映画。
あまり期待せずに行ったら、すごくしっくりきて頭軽いすっきりした状態で出て来れた。

映画の手法を使えば高速カットで場面を目まぐるしく切り替えて多元宇宙を表現でき、演技一つで別宇宙の人格の切り替わりを表現できる。中国人俳優の特権たるカンフーを見せ場として存分に使い倒して、年月を重ねて得た能力を発揮するシーンはミシェル・ヨーの今の年齢だから説得力が生まれるし、様々な役に成り代わる姿が女優である彼女自身の人生をも想起した。逆に『インディジョーンズ』以来何をしてた?と言いたくなるキー・ホイ・クァンの人生にもだ。
このジャンル過去にもいくつも作られてるし、そもそも映画という表現方法がマルチバースと親和性が高いんだろう。

一方で、この話が白人俳優で成立しただろうか、とか考え出す。ランドリーはそれぞれが泡宇宙に見えるし(多元宇宙論のメタファーに使える低収入業態なんてそんなにあるか…?)、娘の反応とかもそうだよなと納得してしまうし、発想からの脚本と座組みの全てがあるべき形でなるべくして出来上がったようにまとまりがよかった。気がする。そう見えただけでそりゃ並じゃない才能や企業努力を活かした結果なんだろうけど。

前半こそ動線繋ぐのに時間かかったけど後半は自分が言いたいことをズバズバ言ってくれる爽快感で気持ち良く、観たいと思ってた映画が観れてすっきり。
考察には意味がなさそう。観てわからなければ仕方ない、ノれない人もいるだろうなとも。
曇天

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