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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのyuiのレビュー・感想・評価

5.0
あらすじから話は何となく想像していたけど、編集が神がかっていた。
はまらない人もいるんだろうけど、個人的には大好き。
エターナルサンシャインと四畳半神話大系とマインドゲームをごちゃまぜにして脳にプラグを挿して直接映像を流し込まれている感覚。今敏作品も。
監督が自分と同じくADHDだという事を観た後で記事で読んで、どうして自分にはまったのか腑に落ちた。
下ネタは無くても良かったけどそれも含めてエブリシングなのかも。
エンドロールの最後の最後まで気を遣って作っているなと感じた。
スパイクジョーンズやミシェルゴンドリーの感覚を再解釈してエンタメに落とし込んでいるのはすごい。

※追記
以下少しネタバレになるかもしれないが、

エヴリンが夫の"be kind"をディアドラに実行した後、
発砲され銃弾を受けて、それをオモチャの目玉に変えて自分の額に付ける。
あの「第三の目」は何なのか考えていたけど、
「ユーモア」の象徴なのではないかと思った。
ユーモアは銃弾より強し、とばかりにエヴリンはその後コンボを決めていく。
彼女は物語前半すごく「真面目」に頑張っていた。
しかし同時に一杯一杯になっていた。
第3の目は「ユーモア」だったと考えたら、この映画自体の表現と重なって見えた。
下ネタやブラックジョーク、変な事をしなければいけないバースジャンプ、
それらは全て必要なユーモアだったのではないか。

(ちなみにバースジャンプをするのに馬鹿馬鹿しい事をしなければいけないと言うのも、単に画的な面白さだけではなく、「普段の自分」なら絶対にしない事をする、という意味ではバースの分岐点としての説得力を感じた。上手い)

そう考えたら、この映画のちょっと人に薦めずらい点も愛せる気がしてきた。馬鹿馬鹿しい事にすら映画的な意味を付けた、ダニエルズに完敗。

余談

話についていけなかったというレビューが結構あるが、
ADHDの自分にはすごく自然に観やすい流れの映画だった。
逆に言うとこの映画の話についていけなかった人の感じた物は、おそらく日常生活で発達障害者が感じている感覚に近いのかもしれない。

なのでこの映画は好き嫌い分かれてもしょうがないと思います。
アカデミー賞取ったのは嬉しいけど、アカデミー会員にADHDの人が結構いるのではないかと疑ってしまった。
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