ゆきゆき

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのゆきゆきのレビュー・感想・評価

3.7
家族を愛すること、周囲の人々に優しくすること、一見平凡な人生もそれはそれで戦いの日々であること……という普遍的なテーマをものっっっすごくヘンテコなSFアクションで伝えてくれる作品。『スイス・アーミー・マン』のダニエルズ監督なので一筋縄ではいかないと覚悟してたが、「こうくるか」と斜め上の展開の連続に頭がクラクラ。

主人公が平行世界のもう一人の自分の能力でピンチを切り抜けていく描写は単純に面白い。何も持たない者が実は最も大きな可能性を秘めているというメッセージも良し。一方で正直言って「これはさすがにちょっと…」と思う場面も多々あったりする。トロフィーのくだりなど「ばっかじゃねえの!?」と本気で呆れてしまった。また作品世界を構成する要素が整理されておらず、理解が及ぶ前に次の場面に移ってしまうこともしばしばあって没頭しきれない。そういった所で手放しで褒められないのも事実。

ただラストはいい感じに着地したし、見終わったら見終わったで「いい映画だったな」と思えてしまったからこれも不思議。こういった奇妙な映画が大ヒットしてかつオスカーにも食い込む状況を含めて面白いな、と思います。
ゆきゆき

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