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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの87のレビュー・感想・評価

3.5
いやー…!最優秀助演女優賞は、ステファニー・スーにあげた過ぎて観ながら悔しくなってしまった。
ジェイミー・リー・カーティスはもちろん腹肉も追加して頑張っているけど…。
とは言え、さすがに極端なアジア人総ナメオスカーは回避して白人にもあげなきゃいけないのだろうな。

「マルチバース」という設定の作品史上最高に分かりやすく、素晴らしくまとめ上げられている作品だった。それだけでも凄い。

監督コンビ・ダニエルズの悪趣味さ(褒め言葉)と唯一無二のセンスは過去作同様どっぷりと表れていて良かった。「方々からこっぴどく叱られないか?!」とツッコミたくなるシーンも多々あり最高。
正直ちょっと中だるみする感じも変わってない。

しかし、主人公の娘への接し方には閉口する物があり、娘が「分かり合えない」と面と向かって言ってくれている上に、分かり合えない理由も言葉や態度で説明してくれたりするのにも関わらず、一切ガン無視して「それでもお前はあたしの娘!だから諦めない!」みたいな、血縁と根拠の無い自信と頑固さで自分の思うがままに無理矢理接してくるエブリンは恐ろしかったな。あんな親しんどいよ。徹底的に否定されるし、過去の自分と勝手に比べられて僻まれるなんて、親じゃなくても「分かり合えない」と言われて当然だろうと思ってしまった。私は「家族だろうが何だろうが結局自分以外の人間と分かり合うことは不可能である」と思っているので、クライマックスの執拗に固執する感じは気味が悪かった。

キー・ホイ・クァンもミシェル・ヨーもカッコ良かった。
アジア人のアメリカンドリームを映画さながら体現して見せてくれた二人。
キー・ホイ・クァンのオスカー受賞のスピーチと授賞式の喜びっぷりは、「本当に素晴らしい役者だな」と改めて感動させられた瞬間だった。

衣装と美術は予算高そうで、「こりゃ楽しそうだけど大変だわ…」と考えてしまった。

どっっっぷりとアメリカ映画だったな。
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