LEO

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのLEOのレビュー・感想・評価

2.9
まず観終えた第一の感想は、「これが今年のアカデミー作品かぁ…」。

複雑な表現で実験的な演出も多々あるものの、訴えていることはいたってシンプル。
LOVE&PEACE。世界はひとつ。宇宙さえひとつ。
人には様々な生き方の可能性があって、何にも縛られず自由に生きていいんだよ。
だから平和が一番。
多様性を認める愛さえあれば、全ては穏やかで争わずにいられるんだ。

う~ん、戦争が長く続いているこの時代に、いかにもアカデミー賞が選びそうな作品だなぁ。
観る前は予告の映像がちょっとSFチックなコミカルで、さらにマルチバースってんで『シャン・チー』みたいな作品かと思ってたけど全然違った。
ぶっちゃけ言って生まれた時から経済的に恵まれていたり、自由な人生を歩んでいたりという、自分の人生にあまり浮き沈みがなかった人は恐らくこの映画との接点が生まれにくくて全く面白くないんじゃないかと思う。

でも浮き沈みがありすぎる自分みたいな捻くれ者でも面白くなかったなぁ。
TV版のエヴァの最終回のような、観る人を度外視した実験的な表現が多すぎて、意識高いと思ってる人だけが共感できる映画って感じでしらける。

ストーリーの流れも、在米中国人が商売や私生活で追い詰められて逆ギレし、白人警察官や公務員をタコ殴りにしてるのになんとなく正当化されちゃうのはいくらパラレルワールドだと言ってもなぁ(もっと言うと、いくら中国資本が大きいって言ってもなぁ)って感じ。
そこにLGBTを絡めて来て、そーゆーのも認めるのが新しい価値観みたいな…。
さらにはそのLGBTの当事者である娘役のステファニー・スーに全く魅力を感じない。
何の理由でキャスティングされたん?

バカな事をやればやるほど強力にバースジャンプができるってのも、下品なアメリカンジョークが大好きなアメリカ人らしいなぁって感じ。
突拍子もないことをして“自分の枠”を破壊すればその先にとべるよ!
新たな才能を開花させるには今の自分の枠を壊んだ!ってことだよね?
ハイハイ。

まぁこの映画は多様性を認めることが大きなテーマだと思うから、「映画の観方もそれぞれだし、批判しても絶賛してもいいけど、狭い視野で断定的にならないでね」というところかな?
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